麻倉
「…………ねぇ、今日って何かお祭りでもあるの?隊士たちが明らかに浮かれてるし、市中のほうもいつもより騒がしい気がするんだけど。境内にもみの木置いてあったし」
千鶴
「あっ、クラちゃん」
沖田
「知らないの?今日はク」
麻倉
「うん、もう大体わかってたよ。クリスマスでしょ知ってるよ」
平助
「へぇ、クライサの世界にもクリスマスってあったのか?」
麻倉
「厳密に言うとないけど、あたしたちはあったりなかったりした」
平助
「は?」
麻倉
「っていうか、この世界にクリスマスがあることのほうが驚き、いやむしろおかしいから」
沖田
「そう?クリスマスを過ごしてからじゃないと、安心して正月を迎えられないって昔から言うけど」
麻倉
「……バレンタインとハロウィンの時も気になってたんだけど、クリスマスってこっちでどう書くの?」
千鶴
「え?どうって…苦離、」
麻倉
「あ、いいや。なんか予想通りっぽいから」
土方
「おい総司!平助と麻倉もだ!いつまでもくっちゃべってないで、さっさと巡察行ってこい!!」
平助
「げっ、土方さん!」
沖田
「はぁい。あーあ、せっかくのクリスマスなのに、新選組は休み無しですか」
土方
「文句言うな。仕方ねぇだろ、こういう時期こそ忙しくなるんだから」
麻倉
「やっぱりこっちも忙しいんだ。軍のほうも、クリスマス時期って酔っ払いだの揉め事だの、騒ぎが多くて毎年大変なんだよね…」
土方
「この時期になるとサンタの野郎どもが出てくるからな。油断してる暇はねぇ。片っ端から捕まえてやらねぇとな」
麻倉
「……………………」
沖田
「あれ?クライサちゃん、サンタ知らない?サンタクロースっていって、この時期にだけ出てくる盗っ人なんだ」
千鶴
「サンタは一様に赤い着物姿で白い髭を生やしてて、市中の家に侵入してお金や物を持ち出すんだって」
平助
「幕府のほうでも毎年結構な数捕まえるらしいんだけど、なかなか被害が減らないんだよな」
土方
「だから俺たちがより気合い入れて見回るんだ。麻倉、お前もサンタを見つけたら好きにさせんじゃねぇぞ、たたっ斬ってでも止めろ」
麻倉
「…………うん、もうツッコむ気力もないや」