daily life
〜3日目 with R〜
「今日は満月かー」
夜空に浮かぶ真ん丸の月を見上げ、運転席に座る人物に向け言った。
エドとアルは司令部へ、あたしは図書館へと向かった。それは何時間も前の話。ついつい読書に集中してしまい、すっかり夜になってしまったのだ。
エドたちが待つ宿に早く戻らねばと夜道を歩いていると、ちょうどそこに通りかかった車が、あたしの横で止まった。運転席にはリオ。宿まで送ってもらえることになったので、有り難く好意に甘えて後部座席に乗った、というわけだ。
「あ、この辺でいーよ」
「了解。ホテルに入るまでは注意しろよ」
「わかってるって」
車を降りると、もう一度空を見上げた。
「……確かに綺麗な満月だな」
リオが窓から顔を出し、同じ方向を見る。
「あのね、リオ」
月を見ていると、ある人を思い出す。
「あの色がね、ウィンリィの髪の色そっくりなの」
「ウィンリィってーと…鋼の坊主の幼馴染みの?」
「そう」
彼女の金髪と同じ、優しい色。
しかし、同じ金髪でも
「エドは…太陽の色かな」
日の光を浴びるとキラキラ輝いて、凄く綺麗。アルも同じ色なのかな。
「それならお前は、やっぱり空の色だな」
青空の色。
そう言って、窓から腕を伸ばしあたしの髪に触れた。長いそれは、さらさらと流れ落ちる。
「お兄ちゃんはね、夜空の色」
漆黒の夜。皆が安心して眠れる、穏やかな黒。今のこの空のような。
「……さて。じゃあ帰るよ、送ってくれてありがと」
「おー、気をつけろよ」
彼に背を向け、目前のホテルに足を進める。
少し歩いたところで、背後から名前を呼ばれた。
「俺は?」
俺の色は何色?
リオの言葉に、あたしは笑う。
お兄ちゃんの色と同じそれ。
例えるなら
「雨雲?」
「うわ、激しく微妙」