in hot daysB





ゴッ。

「〜〜〜〜〜っ!!!」

本に集中していると、突然後頭部に頭突きを喰らわされた。
激痛が走り、頭を抱えて痛みに悶える。

「道理でなかなか戻ってこないと思った。こんなとこで読み入ってるんじゃないの!」

背後を睨めば、そこにはクライサ。図書館の一般フロアで、彼の弟と一緒に本を読んでいた筈の少女だ。
彼ーーエドワードはといえば、一般フロアにある本では物足りなくなり、国家錬金術師専用の蔵書室で目ぼしい本を探していたのだが。

「…ってぇな!!いきなり何す……!?」

抗議のために彼女のほうに向き直った途端、ぐらつく視界。急に気分が悪くなってきた。

「…ったく。集中力があり過ぎるってのも困りものだね」

バランスを崩し倒れそうになるエドワードを、クライサが溜め息混じりに呟きながら支える。
急な体調の変化に戸惑う彼の頬に、少女は自らの両手で触れた。

「この部屋、冷房が全く効いてないんだよ。入った瞬間にわかったでしょ」

「ああ…でも本を探すだけだからいいかなって」

「そんなとこで何時間も本に読み入ったりしたら、熱中症になるのは当たり前でしょ」

そう言って、額をエドワードのそれに当てた。コツンと小さな音がして、自然と彼らの顔は近くなる。

「…っ…お前…」

「さっきまで一般フロアにいたからね。あそこ冷房ガンガンだったから、少しは冷たいでしょ」

確かに。確かに、触れ合った箇所は冷たい。……が!!

(顔が近過ぎるんだよバカ!!)

額は冷たい。
しかし、別の意味で熱い。
顔に熱が集まる。

「外に出たら何か飲みに行こ。とりあえずは落ち着くまでこうしててあげる」

額を合わせたまま、少女は目を伏せる。両手は少年の頬に当てたままだ。
エドワードが(熱中症とは別の意味で)耳まで赤くなっているのに対し、クライサは平然としている。
傍から見ればキスでもしているかのような角度なのに、彼女は全く意識していないらしい。

(鈍感にも程があるだろ…)

暫くの間、エドワードの理性が試されるのだった。





『暑い日で5のお題』
3.熱中症なりかけ










index




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -