(合縁/ティキ)
任務のために訪れた街の、小さなホテルの一室。
一人部屋だしなかなか過ごしやすい雰囲気だしで、のんびり寛いでいたのだが。
そろそろ寝ようか、という時にヤツはやって来た。
「や」
「何しに来やがった」
見覚えのある天パ男が、許可も無く窓をすり抜けて侵入して来やがったのだ。しかも人が着替えを始めた絶妙なタイミングで。狙ってやがったなチクショウめ。
「何って…夜這い?」
「今すぐ浄化してやろうか」
敵である天パことティキは、殺気の欠片も感じさせない笑みを浮かべている。
夜這い云々はともかく、ノアとして訪ねてきたわけではないようだ。
「で、本当の用は何なの?」
「非常に言いづらいんだが、一晩泊めてくれ」
「全く言いづらそうじゃないんですが。つーかふざけんな」
「財布落としちまってホテルとれないんだよ。いつもは外で寝るんだが、今晩はちょっと寒すぎで…」
「いっそ凍死しろよ」
「冷たいお言葉だこと…ま、追い出されても何度でも侵入するけど」
「アレーン、ちょっと来てー」
「え、うそ、少年いんの?やめてお願い呼ばないで」
問答無用
(寝支度中に訪ねてくるなんて、マナー違反もいいところ!)