(FA/エド)
意識が覚醒して、目の前の光景に悲鳴が出そうになった。
いや、そりゃそうだろ。目が覚めたら間近に人のーーしかも異性の寝顔があれば、誰だって動揺するに決まってる。
要するに、今オレが横になっているベッドではクライサが眠っているのだ。しかもご丁寧に、オレと向かい合うようにして。
この一室を残して他は満室らしく、仕方なしに三人で一部屋を使うことにしたのが昨日の夕方。
床で寝る、というオレの言葉に反対したクライサに押し切られ、二人で一つのベッドを使うことにしたのは昨夜遅く。
オレたちの言い争いの最中に、呆れて出ていってしまったらしいアルは、未だに帰って来ていない(頼むから二人きりにしないでくれ!)
ベッドサイドに置かれた時計に目をやると……げ、寝付いてから一時間も経ってない。二人でベッドに入ってから三時間は眠れずにいたっていうのに、また寝るのに苦労しなきゃならないのか。
そんなオレと違って、目の前のヤツは幸せそうな顔して眠り続けている。人の気も知らないで暢気に寝こけやがって。
鈍感な少女に呆れながら、その頬に左手を伸ばした。
寝不足決定
(隣りに君がいるっていうのに、眠れるわけがない)