「なに勘違いしてんだ?あんた」

賢者の石を作ろうとしたことを、金の錬成を行っていたことを、ラッセルたちを、町人たちを利用したことを、罪に問われているとでも思っているのだろうか。

「第一、貴様は『金の錬成や賢者の石については報告しない』と言った筈だろう!民間人を騙したのか!!」

民間人だなんて、笑わせる。町の皆を利用し続けていたくせに、今更善人面しようだなんて。

(ま、悪役なんて大体こんなもんか)

今はそんなことを言っている場合ではない。この無知なる罪人に、罪名を告げなければならないのだ。

「確かに俺はそう言ったよ。金の錬成や『石』については報告してないし、する気もない」

俺が報告したのは。続ける少年の表情が、徐々に冷たくなっていく。

「あんたが、ナッシュ・トリンガムを殺したことだ」

マグワールを見下ろす目が、異様に冷たくなっていた。そう、まさに氷のように。

その事実を知ったクライサは憤慨していた。
後に彼女から聞かされたエドワードも、同じように怒りの表情を見せた。
泣き出してしまったフレッチャーとその肩を撫でるラッセルを目にした瞬間、リオンはぶちギレたのだ。

「……本当は」

お前が

「こうして、生きてることにすら腹が立つ」

逆光になっている少年の顔を見上げるマグワールの顔が、急激に歪んでいく。その表情は、怯えだ。

「手を汚したくはないけどさ」

平然と生きてられちゃ

「俺の気が済まないんだ」

男に向けられた銃口。引金にかけられた指に、力が込められる。
マグワールは腰を抜かしたようで、立ち上がることが出来なかった。後ろに這うようにして、少しでも少年から離れようと後退る。

「自分がやったこと、地獄で後悔しろよ」

燃え盛る焔の前。一発の銃声が、辺りに響き渡った。









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