二人に指を差され居心地が悪そうに溜め息をついた青年が切り出す。少年のほうは、裁くつもりではない、とのクライサの言葉に若干安堵したように見える。

「…と言うか…君たちは何者なんだ?」

「俺は見ての通り軍人だよ。東方司令部のリオン・アサヌマ少尉だ」

確かに、見た通り。軍服に袖を通したリオンは、軍人にしか見えないだろう。
では、その隣の少女は?軍人と共にいる以上、その関係者だとは思われるが。

「あたしはクライサ。クライサ・リミスクだよ」

その少女の名に、青年は覚えがあった。

「クライサ・リミスク……ッまさか、氷の錬金術師か!?」

「あ、なんだ。知ってんだ」

その空色の髪と瞳。室内に足を踏み入れその色を目にした瞬間、妙な感覚がした。知っているが、見たことはない。
噂に聞いていたのだ。鋼の錬金術師と同じ年齢で軍に勤める、最年少国家錬金術師だと。

「そうか…君がクライサ・リミスク…」

じっと自分を見つめてくる青年に、クライサは眉を寄せる。いくら何でも見つめ過ぎではないか。不審に思った彼女は隣に座るリオンに助けを求めるよう、その袖を引っ張るが。

「会いたかった!!」

「わあっ!?」

突然彼女の手を両手で掴み、物凄い剣幕で言った青年に、驚いたクライサは声を上げる。いつの間に目の前まで移動して来たんだ。

「俺と同じくらいの年で女の子の国家錬金術師がいるって聞いて、ずっと会ってみたいって思ってたんだ」

「へー…そりゃどうも」

握られた手を何度も上下に振られ、面倒くさそうにクライサは言う。今の今までツンとした態度を取っていた彼が、突然子どものようなキラキラした目でウキウキと話し出すものだから、正直最初は驚いた。
けれど、いちいち相手にするのも

(面倒くさいなぁ…)









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