「仮に研究が成功して金の錬成が出来るようになっても、職人がいなければ、金細工の町として意味が無いだろ?」

「ああ……なるほど」

金を精製し、それを職人が高い技術で細工する。それが認められれば、注文を受け、そのためにまた金を造る。その時の利潤は計り知れないものだ。

「貸したお金を返されるまで町の人たちが遠くに行く筈ない。そう思ってるってわけだね」

「そういうこと」

やはりリオンは頭が切れる。クライサは感心せざるを得なかった。





「軍人が何の用だ」

室内へと姿を見せた青年に目を向ける。
スラリとした長身に短い金髪、その下から覗く銀色の瞳。
そしてその後ろには、青年同様の金髪銀目の小柄な少年が立っている。

「あんたが噂の『エドワード様』?」

「後ろの子は『アルフォンス様』だね。どうも初めまして」

リオンたちの言葉に青年は目を細める。それとは対照的に、クライサは口元に笑みを浮かべた。

「……そうだ。それがどうした」

「別に。ただ、あたしたちの知ってるエルリック兄弟には見えないなーって」

青年の纏う空気に変化が生じた。クライサが告げた途端、背後の少年は青ざめ、不安気に青年を見上げる。

「そんなピリピリしないでよ。アンタたちを裁きに来たわけじゃないんだよ、あたしたちは」

「……何が目的だ」

クライサとリオンは顔を見合わせる。小さく笑みを浮かべて。

「ちょっと興味があってな。アイツらの偽者って奴に」

国家錬金術師という権威ある称号のわりに、顔形が知られているわけではない。それはエドワードだけでなく、クライサも同様だ。錬金術の研究室に入り込むために、『エドワード・エルリック』の名が丁度良かったのだろう。

「それで実際会ってみたらコレか」

本物とは違い、彼は長身。品が良さそうに見えて、なかなか気が利きそうだ。大人びた雰囲気を持っていて、エリートらしく振る舞っている様子。
何と言うか。

「「本物より本物らしい!」」

ズビシッと青年に指を突きつけ、エドワードが聞いたら憤慨するであろう言葉を。









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