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「お、女王様」
下の階から伸びてきた足場に乗った大勢の中に、見覚えのある姿を見つけてリオは笑みを浮かべる。
「エックスフィートか」
しかし忌々しげに歪んだ彼女の顔と舌打ちに、それは苦笑に変わった。
27.
last battle
最後の戦い
地上には『フラスコの中の小人』がいるため、闘えない者はここに残れ。
グリードの言葉を受けて、オリヴィエや他の怪我人、一般兵たちは上に向かう足場を降りた。
ロイはホークアイを伴い、アームストロングやグリードたちと共に地上へと上っていったが、リオは自身がもう戦力にならないと知っているためその場に残ることにした。
「ふん。腕を落としたか。ざまぁみろ」
「っははー。ひっでぇなぁ、さすが女王様だ」
「……ブラッドレイは、こんなところで死んだのか」
オリヴィエの視線が彼の傍らに移される。
そこに倒れたブラッドレイは、もう指一つも動かない。
「バッカニアの奴に、致命傷を与えられたって言ってましたよ。じゃなきゃ、俺らも危なかった」
「……そうか」
「…死んだんですか」
「死んだ」
「そうすか」
ブラッドレイの口振りからして、そうだろうと思っていた。
彼はバッカニアのことを『斬った相手』と言っていたのだから。
「俺、あいつに貸してた金返してもらってないんですけど」
「いつの話だ」
「ブリッグズにいた頃」
「そんな大昔の話は知らん」
「最近の話だったら少将が肩代わりしてくれたんすか」
「知らん。本人に言え」
「じゃー仕方ないか。あと数十年は待ってやることにします」
「ふん。貴様も無駄に長生きしそうだな、マスタングの奴並みに」
リオは笑った。
ブリッグズの峰より高いところで、豪快に笑う友の姿を思い浮かべて。
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