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それはとある穏やかな昼下がりのことだった。
場所はセントラルシティ、とある病院にて。
「このバカ兄ッッ!!!!」
一人の少女による、特大の怒声が建物内に響き渡った。
13.
word of love
『あいしてる』
「黙れクソガキ!!」
「ぐはぁっ!!」
頭頂部に手刀を喰らい、可愛らしさの欠片もない声を上げて蹲ったのは、空色の少女。
頭を抱え痛みに悶える少女の背後、彼女を見下ろし怒りの表情を浮かべるのは黒髪ポニーテールの男。
「リミスク少佐、ここは一体どこですかね?」
「びょ、病院です……エックスフィート大尉」
「病院というのは何をする所ですかね?少佐」
「えーと……怪我した人や病気の人の治療をする所です、大尉」
「じゃあ、そんな所でそんな大声を出すことがどういう行為か分かりますか?クライサさん」
「……迷惑極まりない行為だと思います、リオ様」
一拍の間。
見上げた先で、黒髪の彼が拳を握った。
「わかってんならいちいち言わせんじゃねぇチビガキが!!」
「誰がチビガキか童顔野郎ッ!!」
「どちらも煩いわ馬鹿者どもっ!!……って痛ぅっ!!」
「傷口開くぞ、兄貴」
「怪我人が怒鳴り声上げるなんて、馬鹿じゃないの?お兄ちゃん」
「お前たちのせいだろうが!!」
というわけで。
「全く……重傷なんて言うから、どんなに死にそうになってるのかと思ったら、意外に元気そうなんだもん。残念」
「どういう意味だ」
フュリーから事情を聞いたクライサは、今とある病院の一室にいる。
ロイとハボックの病室だ。
クライサとエドワードが国外へと出ている間、彼らは人造人間と接触した。
人造人間がバリーを消しに来るだろうと読み、ロイたちは彼を餌に目標を釣ることに成功したのだ。
バリーの元にやって来たのは、魂を求めてきた、彼の肉体だった。
逃げたそれを追って軍の研究所に入り込み、そこで人造人間の一人であるラストに遭遇し、戦闘になった。
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