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姉の出身地はとっくの昔に滅びたらしいし、本人の行方を追うにも手掛かりは無いし。
神様とやらは、禁忌に触れた人間を心底嫌うらしい。







11.
battles in the south

南方の連戦







ダブリス、イズミの家に帰って早々打ち明けられた驚くべき事実。

「誘拐!?アルが!?なんで!!」

アルフォンスが誘拐された。
クライサとエドワードが南方司令部へ向かった後、姿が見えなくなり、『デビルズネスト』という酒場に連れ込まれたとの話を聞く。
イズミが一度救出に向かったのだが、アルフォンスの希望もあってそのまま帰ってきたらしい。

「アルの魂の情報をよこせと……要するにエドを連れて来いってさ」

「……それで、エドは行ったんですね」

アルフォンスを誘拐したのは、手の甲にウロボロスの入れ墨をした男。
『グリード』という人造人間(ホムンクルス)らしい。

「……嘘」

信じられないが、それを話すイズミの顔は真剣なものだ。
事実として受け入れるしかないらしい。

「ほむん…?」

「ホムンクルス。錬金術によって人工的につくられた人間のことだよ」

脇に立つリオが首を傾げると、クライサが簡潔に答えてやる。
成功した例は聞かない。
ゆえに、クライサはそれは有り得ないことだと思っているのだが。

「……じゃあ、あたしも行ってみます」

「は!?あんな危ない奴らの所に行かせられるわけないでしょ!!」

「俺もついて行きます」

反対するイズミに進言したのはリオだった。
仮に何かあっても、自分がクライサを守るからと。

「軍人は信用出来ないかもしれませんが、俺はこいつの親友です。必ず守ってみせます」

「……」

「行かせて下さい、イズミさん」

二人分の真っ直ぐな眼差しを向けられてしまえば、イズミは渋い顔をして黙るしかない。
少しの間そうしていると、漸く彼女が口を開いた。
まず漏れたのは溜め息。

「……晩御飯までには帰ってきなさいよ」

「はい!」






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