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「あれ、ウィンリィ?」

一つの建物の前を通りかかった時、クライサは足を止めてその入り口を見つめた。
本部で待っている筈なのに、どうしてこんなところにいるんだ。
首を捻りながら言って、建物に入っていく。
その後を追うのは、北方軍二人と見張り役の男一人だ。

「おい、待て!!」

「ほら早く!見失っちゃうじゃん!」

階段を三段飛ばしで駆け上がり、一人で建物の奥へと進んでいく。
その間もほぼ全力で走っているため、後を追う男たちは全くついて来れていない。
曲がり角に出ると、彼らがまだ追い付いて来ないことを確認してから、そばに設置された窓から飛び下りた。
そして隣接した建物の屋上に着地し、更に隣へ、また隣へと移動していく。
男たちが追ってくる様子は無いから、撒くことには成功したようだ。

(エドたちも行動し始めた頃かな)

ウィンリィの姿を見つけた、というのは当然嘘だ。
彼女はアルフォンスの鎧の中に身を隠しているから、本部にいないのは本当だが(今頃騒ぎになっていることだろう)。

さて、そもそもここに来た目的は、スカーと行動を共にしているらしいメイを捜すためだ。
しかし、この広い町であんな少女を見つけるのは、エルリック兄弟と合流するより難しい。
どうしたもんかと頭を悩ませていると、大きな、しかし少女らしい高い声が聞こえてきた。
どうやら目的の少女のものらしい。
しかも、彼女が呼んでいたのは鎧の彼の名だったようだ。

(エドたちが見つけたのかな?)

もしかしたら、彼女のほうからやって来たのかもしれない。
考えて、それは無いか、と苦笑した。









「あんまり広いんでどうしたもんかって途方に暮れてたら、むこうからアルにタックルしてきた」

マジで来たんか。

声の聞こえた辺りを目指して歩くと、意外にあっさりと兄弟と合流出来た。
もちろんウィンリィも一緒だ。

そしてアルフォンスにべったりくっついている小柄な少女を見つけて、どうやって捜し出したんだとエドワードに問えば、先のような答えが返ってきた。
彼女にはアルフォンス用センサーでも備わっているのだろうか。









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