今日の俺は朝から落ち着きがなかった
というか落ち着いていられなかった
「クライサ、誕生日おめでとう」
「ありがとう、アル」
原因はそう、今日がクライサの誕生日だからだ
人様の誕生日で落ち着かないなんて可笑しいと思うだろうが、これほどプレゼントを渡すということが緊張するなんて自分でも思わなかった
いつもみたく何でもない風に渡せばそれでおしまいだが、なぜかそれが出来ない
彼女の机の上には山盛りのプレゼントがある(司令部に来る途中にいろいろな人から貰ったそうだ)
結局俺はクライサがいない間にその山の中にこっそりと用意していたものを混ぜておくことしかできなかった
「あ、いた」
資料室で本を読んでいるとクライサがやってきた
「今からあたしの誕生日パーティー開いてくれるらしいからエドも行こ」
「祝われる側が呼び込みなんておかしいだろ」
若干呆れつつ立ち上がり本棚へと持っていた本を戻す
「エドー」
「おー?」
「ありがとね」
「へ?」
これ、と言って見せてきたのは腕にはめられた空色のブレスレット
まさしくそれは俺がこっそり忍ばせたものだが
「な、んで…」
何故俺からだとわかったのだろうか
カードなんか入れてないし俺からだとわかるものなんてなかった筈だ
「見覚えない箱だったし、なんとなく勘」
「おま、それで俺じゃなかったらどーすんだよ」
「うーん、でもきっとエドだって思ったから」
そう言って笑う彼女はずるいと思う
以心伝心
(それより言ってよね、ちゃんと)
(…誕生日、おめでと)
(うん、ありがと!!)