空色の長い髪が風に揺れるのを、黙って見ていた。手を伸ばして指に絡めて、撫でるように梳く。
「…エド、くすぐったいんだけど?」
「あー…」
生返事を返して、また指に絡めて梳く。それを何度か繰り返して、クン、と引っ張った。空色の瞳が、不機嫌そうに細められる。すぐに本に視線を戻して、字を追うのをじっと見ていた。
「なぁクライサ、今日何の日か覚えてるか?」
「今日?って…何かあったっけ?」
分かんない、と肩を竦めてまた本に視線を向けたクライサの腕を引けば、呆気なく隣に倒れた。読んでいた本を閉じて、不機嫌そうなクライサを見る。
「コレ、やるよ」
差し出した箱を開ければ、クライサが前に欲しいと言っていた髪留め。パチパチと目を瞬かせるクライサに、笑みがこぼれた。
ハッピーバースデーを君に
(ホントは少し照れくさいけど)(たまにはこんな日も良いかもしれない)