仮想の錬金術師、トワイライト・コスモスが最後にクライサと顔を合わせてから、四ヶ月余りの月日が経過した。

賢者の石を探す兄弟と共に旅をしている筈だが、司令官の話によれば、彼女は上からの命令により西の激戦区へと送られたそうだ。
それが四ヶ月と少し前。
未だ彼女は帰って来ない。便りもない。

「トワイライトちゃん…早く帰って来て欲しいのにね」

ホークアイの言葉に、今度はリオンが頷いた。まったくだ。正直、彼女の安否はそれほど心配していないが(彼女の実力を知り過ぎているから)、更に帰りが遅くなるようだと、もう一つの命のほうが心配になってくる。それが、クライサだ。

トワが西の戦場へ向かったと聞かされたのは、四ヶ月程前。
最初の頃は、彼女の帰りを待ちながらも、いつも通りしっかり仕事をこなしていた。
しかし、トワと会わない日が二ヶ月を超えた頃から、クライサの様子はおかしくなっていった。

(禁断症状……)

いつも余裕の表情を保ち、強気に光る空色の眼は、ここ二ヶ月間、ずっとくすんだ色をしている。
同僚たちと会話を交わす声にも明らかに元気がないし、机に向かってはいるが仕事が捗っている様子も見られない。
トワに会えないことが、彼女にとってこれほどのダメージになるとは。

エルリック兄弟と旅をするトワは、あまり長い間イーストシティに滞在することは出来ない。
だが近くに来たからと、ロイに用事があったからと、何かと理由をつけてはクライサに会いに来てくれるため、一ヶ月以上も会えない日が続くことはなかった。だから、この事態だ。

トワ依存症とでも言うべきか。大切で大好きで、かけがえのない存在である彼女に会えないことは、クライサに多大な精神的ダメージを与えているようだ。ここ最近、彼女の弱々しいもの以外の表情を見た記憶がない。






[index]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -