「…ありゃ。もう終わり?」
地面から拳を離し、立ち上がったクライサ。彼女の目は倒れ臥した男たちを一瞥した後、レイへと向けられた。
「レイ!血!血が!!」
「大丈夫。もう止まったよ」
駆け寄り心配そうに覗き込んでくる少女に、苦笑が漏れる。その小動物のような表情。先程の修羅顔負けの姿が嘘のようだ。
「とりあえず消毒しよう、消毒!」
「いいよ別に。擦り傷だし」
「傷口からバイ菌が入ったらどうすんの!念には念を入れないと!!腕と足も消毒するの!!」
「はいはい…」
医務室に向かうつもりなのか、少女らは建物内に消えていった。倒れた男たちを放置し、中庭を後にして。
「「……」」
その様子を見ていたエドワードとロイは、クライサの怒りの恐ろしさに顔面蒼白になっていた。
「レイ、お昼食べに行こっ」
「あ、ちょっと待って。今報告書終わらせるから」
それから度々デート(と言っても、単純に昼食をとりに行ったり買い物に出掛けたりするだけだが)に行くようになったクライサとレイ。
先日の一件のせいで、彼女らの邪魔をしようとする怖いもの知らずな輩は
「私もレイと食事に行きたいと言うのに…」
「諦めろよ、大佐…クライサに殺されたくはねーだろ」
いなくなりましたとさ。
END.
【H19/02/04】