「全く、爆破事件が起こったと思えばレイたちが現場に向かったと、憲兵から報告が入るし…」

「ねぇ、大佐」

「急いで車を走らせれば、これだ。レイに怪我させるとは…腕が鈍ったんじゃないかね?氷の」

「聞いてる?」

「うるさいなぁ、今頃来て説教たれたって遅いんだよバカ大佐」

「犯人、逃げようとしてるけど」

「「「……え?」」」

「あ!逃げんなコラ!!」

彼らに背を向けこっそりと逃げようとしている男に気付くと、クライサはその背中に正拳突きを繰り出す。若干弱めに食らわせたそれに、男は呻き声を上げてその場に蹲った。気絶はしていないようだ。

「どうするの?クライサ」

「ちょーっと拷問にかけてやろうかと思ってね」

故意に突きを弱くしたのだと気付いたレイは、その意を読みとれず首を傾げる。それに対し少女は、悪魔的な笑みを浮かべ返した。

「拷問?」

「くすぐり地獄!」

「…………」





拷問を受け真っ白になった男から得た情報によれば、街で起こした爆発はロイたちを引き付けるための囮だったのだという。
本当の狙いは司令部。今頃は彼らの仲間が爆弾を仕掛けに行っている筈だ。

それを聞いたクライサとレイは、捕えた男たちをロイたちに任せ、司令部に向け走り出した。
司令部には何も知らずに仕事に励む人々がいるのだ。その人々を犠牲にさせるわけにはいかない。

司令部の敷地の外を回っても、爆弾らしき物は無かった。ということは、敷地内に仕掛けられていると考えるのが自然である。
門を通り敷地の中に入るも、建物には入らずその周りを駆ける。

「……ビンゴ」

司令部中庭の一角で、怪しい男二人組を発見した。軍服を着てはいるが、恐らくれっきとした軍人ではないだろう。

「おにーさんたち、何してんの?」

確信を胸に声をかけると、二人組は肩を跳ねさせ大袈裟に反応した。やはりビンゴのようだ。なんて分かりやすい奴らなのだろうか。
見れば二人の足元には箱のような物が見える。もしかしなくとも爆弾だろう。

「クライサ」

「オッケー」

レイたちは二人同時に戦闘体勢に入り、男たちに向かって駆け出した。

「「二人まとめてブッ飛ばす!!」」





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