大通りに面したお洒落なカフェ。
そこで食事をしていたクライサとレイの耳に、大きな爆音と悲鳴が届いた。
軍人の顔をした少女たちは、爆破現場へと足を速める。
そこにいたのは、五人の男たちだった。
氷と黒白
爆発が起こったと思われる路地に続く道。
クライサたちは、見るからに怪しい男五人と鉢合わせてしまった。最近騒がれている爆破テロに間違いなさそうだ。
「何だ、お前ら」
「そういえば街の人たちはちゃんと避難してくれてるかな」
「さっき憲兵が走って来たから大丈夫でしょ。ちゃんと先導してればね」
「俺たちを無視して喋ってんじゃねぇ!!」
ツッコミという名の大声を上げた男に、空色と銀色の瞳が向く。その威圧に、男たちは無意識に息を呑んだ。
「氷の錬金術師、クライサ・リミスク」
「黒白の錬金術師、レイ・ウォーカー」
それぞれ名乗れば、男たちは目を見開く。
「司令部までご同行願おうか」
「抵抗する場合、問答無用で叩き潰しますけどね」
レイはあくまで冷静に、クライサは楽しげな笑顔で言う。当然彼らは素直に言うことを聞く筈がない。
「ふざけやがって!!」
「軍の狗めが!!」
「あらら。抵抗する気満々?」
ある者は拳を握り締め、ある者は懐からナイフを取り出す。襲いかかってきた彼らを見ても、少女たちは動じることはなかった。
「んじゃま、問答無用で」
「叩き潰すとしようか」
クライサは向かってきた拳を、レイは振るわれたナイフを避け、それぞれ男たちの腹部に肘鉄と膝蹴りを繰り出す。容赦のないそれに、堪らず男二人は呻き声と共に倒れた。
攻撃の直後で隙があるように見えたのか、残ったうちの一人がレイに殴りかかる。だがそう易々と食らうわけにはいかない。
男の懐に入り込むようにして拳を避け、そのまま相手に背を向ける。片手で手首を、もう片手で腕の付け根を掴むと、そのまま勢い良く地面に叩き付けた。
「お見事!」
鮮やかな一本背負いに手を鳴らすクライサには、近くにあったらしい鉄パイプを持った男が襲いかかる。