stage 4
(全く…どうしてこう…)
人の邪魔をするのだろうか。
「…本当にレイってモテるよね」
「そんなことないと信じたい」
というのも、またも彼女らーー正確にはレイが、ある少年に捕まっているのである。……まぁ、ある意味で少女にも捕まっているのだが。
「兄さん、クライサ…レイが困ってるよ」
「困らせてんのはエドのほう!先約はあたしだもん!」
「こっちだって約束してんだよ!お前はまた今度にしろ!」
「いつあたしが約束したの、エド」
「さっき!」
「嘘つけ!!」
彼女の右腕をエドワード、左腕をクライサが掴み、引っ張り合うようにして睨み合っている。レイとしては迷惑この上ない状況である。
少女に同情するような目を向けているも、巻き添えを食らいたくないのか、距離を取って見守っているのがアルフォンスだ。
「…上等だ」
「アンタとは一度ケリをつけなきゃいけないとは思ってたんだよ…」
二人を包む不穏な空気。その手を放したために自由になったレイは、素早くアルフォンスの隣へと避難した。
「くたばれや豆!!」
(クライサ…キャラ変わってる…)
「来いチビ!叩きのめしてやる!!」
(エド…女の子相手に何してんの…)
同時に両手を合わせた二人。ここは街中だ。国家レベルの錬金術師が本気で戦ったら、一体どうなってしまうのだろうか。
しかし、慌てふためいているアルフォンスとは正反対に、レイは落ち着き払っている。
(あたしもデートしたいしなぁ…クライサと)
デート、と言ってもただ昼食をとりに行くだけなのだが。ここまで邪魔されると、いい加減面白くない。
ここはやはり、
(犠牲になってもらおうか)
「エド!」
睨み合う二人のうちの片方に呼びかける。
少年は相手から視線を外すことに一瞬躊躇ったが、名を呼ばれたほうへと目を向け、
ぎょっとした。