一つの任務が終わった後は、次の任務のためにも即時帰還するのが暗黙の了解だ。

(……だけど、たまには、ね)

予想より早く任務を終えたあたしとロウは、訪れた街のメインストリートを歩いていた。最近任務ばかりでろくに息抜きが出来ていなかったため、一日だけ買い物に使わせてほしいと行動を共にしていた探索部隊たちに頼んだのだ。ちなみにコムイには連絡を入れて既に許可をもらった。

「さて、次はどの店入ろっか」

「僕、甘いものが食べたい」

「じゃあどっかカフェにでも入る?あたしもちょっと喉渇いちゃった」

それぞれ片手に二つほど袋を提げて歩いていると、通りに面したお洒落なカフェを発見した。なかなか人気な店なのか、ガラス張りの店内には若い女の子の姿が多く見られる。
それなりに席は空いているようなので、ロウに確認をとってから店に入った。ロウはミルクティーとチョコレートケーキを、あたしはコーヒーといちごのタルトを頼み、仲良く分け合いながらティータイムを堪能した。
そして買い物を続けるべく、店の外に出た直後のこと。

「エクソシストはっけーん!」

「殺せ殺せ!」

耳に届いた声と殺気立った気配に頭上を振り仰げば、異様な姿をした物体がいくつも下りてくるところだった。アクマだ。十体ほどだろうか、レベル2のアクマがあたしたちを囲めば、通りにいた人間たちが悲鳴を上げて逃げていく。ああ逃げろ逃げろ、その辺にいられても邪魔だから。

「アクマ…!」

「ロウ」

イノセンスを構えたロウに、持っていた紙袋を差し出した。首を傾げながらも彼女がそれを受け取ったのを確認して、ニコリと笑む。

「それ、死守してね」

「え?」

「この馬鹿どもの相手は、あたしがするから」

せっかく買ったものを放置はしたくないし、けれど持ったままでは闘いづらい。その点、ロウが預かってくれるのなら心配はない。
イノセンスを発動すれば、アクマたちはあたしに注目して一気に襲いかかってきた。その隙に包囲の外に出たロウを確認し、あたしは笑みを深くする。『氷釧』によって生み出された氷が、あたしに触れかけたアクマの体を貫く。まず一体。

「ほら、かかっといでよ」

残りの者に挑発混じりの笑みを向ける。さて、気付いたかな?あたしが物凄く怒ってることに。




本気で怒りたくなる理由





「ロウとの貴重なデートタイムを邪魔しやがって……完膚なきまでにぶちのめす!!」

空気読んで来い馬鹿どもめ!






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