「……帰りたくなった?」

青年からの反撃を受け流し、意識を組み手に戻すと、相手が言った。対してフッと笑みを浮かべ、伸ばされた腕を絡めとる。

「馬鹿言わないでよ」

慌てるラビが振りほどくより早く相手の懐に入り、捕った腕を思いきり引いて投げ飛ばした。背負い投げを食らった青年は床に背中を強かに打ち付け、いてて、と呻いている。
兄妹のほうを向けば、神田はいつものように不機嫌そうな顔をしているが、ロウは楽しそうに笑って拍手をくれていた。
自分よりも幼く見える少女に手を振り返しつつ、背後で倒れているラビに肩越しに視線だけを向ける。

「帰りたくなった、なんて今更だ」

あたしはいつだって、帰ることばかり考えてる。
貼り付けた笑みを見せてやると、ラビが溜め息混じりに苦笑した。






END.


【H21/02/24】



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