同じ15歳だと聞いて驚いた。
顔立ちや口調、振る舞いは、正直同い年とは思えないほどの幼さを含んでいて、何か特殊な環境で育ったのではないかと詮索したくなる(でも止めた。この世界の人間に深く関わってはならない)。

とりあえず、まだ少し距離は置かれているが、嫌われはしていないようなので安心しておこう。
ただ、こちらを見る神田の目が更に厳しくなって、些か居心地が悪いのだけは問題だ。……いや、もう一つ問題はあるのだが。

「ロウに気に入られるなんて珍しいさ。ま、同い年なんだし仲良くするんだな」

「気に入られてんの……?」

「握手出来たんだろ?なら十分さ」

「……自分よりちっさい人にチビって呼ばれるあたしの気持ちなんか、ラビにはわからないんだ」

「ま、まあ、あだ名だと思えばいいんじゃねぇかな?うわー、もうあだ名で呼ばれるなんて、クラ羨ましー」

アレンがモヤシと呼ばれるところを見て、羨ましいなんて思えないんだけど。
遠い目で呟いた少女に、今度こそラビはうっと詰まった。それを見計らったように、黒髪の兄妹が歩いてくる。
妹のほうはラビを見つけて笑顔で彼に走り寄り、兄のほうは殺気を纏わせてクライサを睨み付けた。
途端に鋭さを持った空気に変わったそこに、周囲にいた者たちは揃って勘弁してくれと胸中で叫ぶ。一時の休息とも言える食事中に、すぐそばで周囲の迷惑お構い無しの戦闘が始まるなんて、全力で勘弁願いたい(ここはみんなの憩いの場、食堂なのだ)。
しかし殺気を向けられた当の本人はそれを軽く流し、青年に抱きついているロウに声をかける。

「ロウもお昼食べに来たの?」

「そうだよ。チビも?」

「……その呼び方やめてもらえないかね」

「え?だって、こう呼べば喜ぶってユウ兄が」

「神田テメェちょっと面貸せ」

「クラ、せめて昼飯食ってからな」

ロウにねだられたので、約二名は不本意であるが、同じテーブルで食事をすることに。
神田とラビ、ロウとクライサがそれぞれ向かい合うように席につき、適当に会話を交わしながら箸やらフォークやらを進める。

ロウは、気を許した相手に対してだけは警戒のけの字も無い態度をとる。その代わり、そんな相手自体が数少ない上に、それ以外の人間に対しては警戒心を隠しもしないのだが。

(……ああ、なるほど)

それが誰かに似ていると思って、すぐに浮かんだ答えに、フォークを持った手を止めた。

(昔の、あたしだ)






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