無駄話してる場合じゃねぇぞと神田に怒鳴られたので、話は本題へ。
神田とハルは、昨日のうちにこの村で起こっていた奇怪を解決し、イノセンスの回収を済ませた。
それが日が暮れてからのことだったので、一晩をそのまま村で過ごして翌日(要するに今日だ)教団に戻る予定だったのだが、今朝アクマの大群が村に向かっているという情報を耳にして、住民たちを連れて避難して来たのだそうだ。

「避難したなんて意外だね。神田ならお構い無しに飛び出して行ってもおかしくないのに」

「あたしが止めたのよ。いくら何でも、あれほどの数を二人だけで相手するなんて危険だから」

「……でも、今はエクソシストが四人もいる」

「ええ。いつまでも隠れているわけにもいかないし…」

青年たちに目を向ければ、ラビはニコリと笑って伸ばした槌を握り、神田は無言で足を踏み出す。
洞窟の奥にいた住民にランプを手渡すと、ハルはあたしに並ぶようにして外へと歩き始めた。

「んじゃま、いっちょ暴れてやりますか」

「お手並み拝見ってとこね」

そりゃこっちの台詞だね。神田やラビが認める、アレンの姉弟子。一体どれだけの強さを持っているのか、見せてもらいたいものだ。

とりあえず、神田とラビ、あたしとハルの二組に分かれて、群がっているアクマを一掃することにした。
もちろん村人たちには洞窟の奥から出ないよう告げておき、戦闘準備を万端にして外に出る。
あたしたちは森の西側から、ラビたちは東側から攻めていくことに決まった。

たん、と地を蹴り、数体のアクマの頭上で身を翻す。右腕を包むイノセンスが赤い輝きを放つと、アクマたちは一瞬にして凍りつき、動きを止めた。
視線を動かした先では、もう一人のエクソシストが鎖を鞭のように振るい、兵器を地面に叩き落としている。こちらの数体と同じように、全体が凍結していた。

「へぇ。ハルのイノセンス、氷の能力なんだね」

あたしと同じだ。ニヤリと笑みを浮かべると、視線の先の彼女も強気に微笑んだ。

視界の端、東の方角で巨大な火柱が立ち上る。






[index]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -