村の中にはアクマが溢れ、建物が悉く破壊されている。しかし、村人たちの死体や血痕はどこにも見当たらない。
エクソシストが戦っている様子も見られないから、危険を察知して村人を連れてどこかに隠れているのだと判断した。

「どうする?あたしたちだけでアクマ一掃する?」

「二人だけじゃキツいだろ。とりあえず、どっかに隠れてる筈のエクソシストたちを捜すぞ」

「……エクソシストエクソシストって、誰が来てるのか聞いてないの?」

「それをコムイに尋ねようとしたら、その瞬間に通信切られたさ……」

「…………」

アクマに見つからないよう注意しながら村を出て、人が隠れていそうな場所を探す。と、森の中に洞窟を発見した。中がどのようになっているかはわからないが、小さな村の住人全員が隠れるぐらいの広さはありそうだ。

「気をつけろよ。中にもアクマがいるかもしれないさ」

「わかってるよ」

洞窟の中は真っ暗で何も見えない状態だ。かといって明かりを持って入っては、中にアクマがいた場合、こちらの侵入がバレバレになってしまう。ここは慎重に、気配を探りながら入っていったほうがいいだろう。
襲撃に備えてイノセンスを発動しておき、洞窟内に足を踏み入れる。人の気配は、まだしない。

(……何か、いる)

しかし、数メートルほど中に進んだところで、人か何かの気配を感じた。後ろを歩くラビに合図して立ち止まらせ、より慎重に足を進めていく。
人間か、アクマか。
向こうもこちらに気付いたらしく息を潜めてしまっているから、洞窟に住む動物でないことぐらいしかわからない。こちらがアクマなのか探っている人間なのか、それとも襲いかかるタイミングをはかっているアクマなのか。

(……動いた!)

肌に感じたのは殺気。鋭いそれを向けられると同時に体が動き、襲って来た何かを、鋼鉄のイノセンスを纏った右腕で受け止めた。
キィン、と甲高い音が響く。どうやら、襲いかかってきた相手が持っているのは、剣や刃のようだ。

包帯状のイノセンスの先を伸ばし、甲剣状にして構え直す。
暗闇の中、殺気や感覚だけで振るわれる刃を防ぎ、受け流し、こちらからも攻撃を仕掛けた。

(……?)

防ぎ切れなかった攻撃が頬や肩を掠るが、どうやらそれはこちらだけではないらしい。突き出した刃が、防御の隙間を縫って相手の身体に届く感触がする。しかしそれは、機械のような硬さではなかった。

(これはもしかして……生身の人間か?)






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