「そっかー、親友……親友かぁ…」
「え、まだ納得いかない?」
「ううん。…そうだね、そんな感じかも」
確かに、恋人同士と言うには若干の違和感があった。しかしただの友達と判断するのも躊躇われる。
そうか、『親友』と言うのが一番しっくりくるのか。
(それでも、何か違和感があるんだよね)
そう思うも、これ以上詰めてもきっと答えは出ない。セツナが言葉を飲み込むと同時に、あ、と空色の少女が声を上げた。
顔を上げて、前を歩いていたクライサを見ると、彼女は表情を明るくして前方を指差している。
「セツナ!」
「スバル!?」
指の差す先に目を向ければ、そこにいたのはリオとスバルだった。
メインストリート周りを一通り歩いて、少女らが帰っていることを期待して戻ってきたらしい。
安心した顔のリオの隣を離れ、スバルが駆けてくる。
「良かった、無事だった」
そしてセツナの前で止まるや否や、少女を腕の中に閉じ込めた。抱き締められた彼女は当然驚き慌て、クライサとリオはそれを目を丸くして見ている。
「……うん。心配かけてごめんねスバル、ありがとう」
腕の中で、セツナの顔は驚きのものから笑顔に変わった。彼の背に腕を回し、子供を宥めるように軽く背中を叩いてやる。
それから少しして、スバルは落ち着いた頃に漸く彼女を解放した。
「随分愛されちゃってるみたいだねぇ」
「なかなか大胆なんだな」
気まずそうに赤くなっている二人を、クライサとリオの両名が全力でからかいにかかる。
ここにリオンがいれば、間違いなく呆れられていたことだろう。いや、殴られるというオマケ付きで止められていたかもしれない。
「……よし、思う存分からかったしこの辺で許してやるか」
「酷い奴だよね。あたしもだけど」
返す言葉を見つけられずにいたセツナの赤い頬に、クライサが両手で挟むように触れる。同様の状態だったスバルの頭を、リオが先程と同じようにくしゃくしゃと撫でる。
ごめんね、悪いな、と一応からかったことには謝罪を入れて、次の瞬間には先程までとは全く違う、含みの無い笑顔になっていた。
「じゃ、メインストリートで食材買って、リオの家で夕飯にしよっか」
「クライサが作ってくれるんだとよ」
「じゃあ俺手伝うよ、クラ」
「あ!私も手伝う!」
「ほんと?じゃあ一緒に作ろ!」
「セツナはやめたほうがいいと思うけど…」
「スバル、今何か余計なこと言った?」
「いや、何も…」
「「?」」
さあ、次は何して遊ぼうか?
END.