「心配すんなって。クライサのことだから、もう解決してこっちを捜してる頃だろ」
女性陣の不在に気付き、捜し歩くのはリオとスバルだ。
通りの他の店に顔を出して、少女二人はいないかと尋ねたところ、ひったくりに遭っていたという目撃情報を得た。
そしてすぐさま犯人を追って駆け出したと言っていたから、多少苦戦したとしてももう捕まえている頃だろう。逆に、こちらのほうこそ下手に動かないほうが良かったかもしれない。
「セツナを危険な目に遭わせるようなことはしねぇよ、あいつは」
「…うん。それはわかってるんだけど…」
何の心配もしていないリオとは違い、その隣を歩くスバルは浮かない表情だ。姿の見えなくなってしまったセツナのことが心配なのだろう。恋人としては当たり前だ。
セツナを信頼していないわけじゃない。
しかし、ここはセントラルで、彼らにとっては見知らぬ土地と言える。そんな場所ではぐれて、全くの気楽でいられるかと言われれば、簡単には頷けない。
「大丈夫だ。ここは俺の庭みたいなもんだし、クライサもこっちの動き方に見当ぐらいついてるだろうし」
「……うん。ありがとう」
スバルの頭に手を置いて些か乱暴に撫でてやると、彼は少し困ったように、しかしいくらか安心したように苦笑した。
「クラちゃんって、リオさんと付き合ってるの?」
突然の質問に、手にしていた紙袋を全て落としてしまった。バサバサ、と音がして、しかしクライサにはそんなことを気にかける余裕はない。
「……は?」
「だって、見てるとそんな感じなんだもん」
どこをどう見たらそんな風に感じるんだ、とでも言いたげに彼女は眉を寄せる。いや、別に嫌なわけではないのだけれど、事実とは違うわけだから。
「仲良しでは片付けられないような雰囲気だし、ツーカーみたいなところもあるでしょ?だから、そうなのかなって」
「あー…そういうとこもあるかもしれないけど、付き合ってるわけじゃないよ」
ただの友人ではないけれど、恋愛対象でもない。そこでリオと自分は親友なのだと告げれば、セツナは納得したように頷いた。