背後から聞こえた声に振り返ると、そこにいたのは二人の少年だった。
慣れない正装に息苦しそうにしてはいるが、若干着崩したスーツがよく似合っている。
クライサの前には金髪の、カノンの前には銀髪の少年が立ち、それぞれ正面の少女に飲み物の入ったグラスを手渡した。

「カノン、ほら」

「ありがと、カナタ」

長めの銀髪を後頭部で結った、銀灰色の眼を持つ少年は、カノンの双子の弟であるカナタ・ヒオウ。

「ほらよ。会場内の様子見は終わったのか?」

「どーも。ん、大体ね。やっぱり、招待されてる客のほとんどがオークション狙いで来てるみたい」

いつもの三つ編みでなくポニーテールにした金髪を揺らすのは、鋼の錬金術師、エドワード・エルリック。
彼らはロイの命令により、クライサとカノンの護衛(手伝い)として、彼女らと共にパーティーに参加することになったのだ。

「このパーティー自体が闇オークションのカモフラージュなのかもしれないな。長年の研究成果とやらを発表する様子も無いし」

「ミッドウェイがそのつもりだってこと、客も知ってたみたいだね。こそこそ話してる内容聞くと、どうも皆さん常連客みたいだし?」

アイザック・ミッドウェイが自宅で度々パーティーを開いていた、という情報は既にロイから聞いていた。
おそらく本当の目的は闇オークションのほうだったのだろう。どんな怪しげなものを売っているのかは知らないが、科学者ともあろう者が研究より金儲けに専念するなんて、呆れるほかない。『総合物理学の権威』の名も本当かどうか怪しいものだ。

「ま、予定通りオークションの真っ最中に事を起こしたほうが、一網打尽に出来て楽だろうな」

カノンの言葉に、三人揃って頷いた。
オークションが行われる前に問題を起こしたり、警備員たちにマークされては面倒だ。とりあえず時間になるまでは大人しくしていたほうがいいだろう。

「そうと決まれば腹ごしらえだよ、カノン、カナタ!料理食べるぞー!」

「「おー!」」

「なんだかんだで楽しむ気満々だろお前ら」





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