「査定のためにこの街に来る予定の国家錬金術師がいるから迎えに行って来い、ってお前の兄貴に命令され……て…」

中途半端なところでエドは言葉を切った。
彼のその目とあたしの目が、一人の人物を捉える。

そこで、理解した。


「あの野郎…ハメやがったな!!」

「あはは…またお兄ちゃんにしてやられたみたいね」

「お兄ちゃん?」

「「マスタング大佐のこと」」

レオンがエドの知り合いだと知っていたのだろう。
あの人の意地の悪さには感心したくなる。

「はぁ…とりあえずレオン、司令部に行くぞ」

「了解ー」

「一応命令には従うんだね」

「仕事だからな。嫌だけど

「ほんと、エドって正直者だよね」

という事は、残念ながらレオンとのデートはここで終わりらしい。
あたしの暇な一日(残り半日)が再開してしまいそうだ。


………いや、

「…あたしも行こっかな」

「は?」

どうせ暇なのだから、兄の仕事場を拝見しに行こう。
…と言っても毎日通っている所だけど。

「お前…今日休みなんじゃねぇのか?」

「休み。だけど暇だったんだよねー」

賑やかな環境、楽しい事が大好きなあたしは、退屈が大嫌い。
司令部なら話し相手もいるし、たまにはまずいお茶でも飲みましょう。

それに、暇潰し以外の目的もある。

「お兄ちゃんがレオンに手出ししないように監視しなきゃ」

「お前とことん兄貴を信用してないんだな」

「仕事上では信用してるよ」

女性関係となるとそうもいかない。
あたし以外の唯一のストッパー、ホークアイ中尉にも、いつまでも迷惑をかける訳にもいかない。

…レオンは女性ではないのだけれど。

「あたしがレオンのボディガードしてあげるよ」

「はは、頼りになるよ」

「何でもいいからとりあえず行くぞ。あんま遅くなると、また大佐がうるさい」

「同感。…じゃ、お手をどうぞ?」

その行動は、ボディガードというよりもジェントルマンに近かったかもしれない。

レオンはニコリと微笑んで、
あたしの差し出した手を握った。





つづく?



黒髪美人・レオンくんをお借りしました!エディも出せて楽しかったです(笑)
ここで一応、レオン君についての設定も載せておきましょうかね

レオン・ラジハルト
性別:男
年齢:17歳
容姿:腰迄伸ばした黒髪に色素の薄い肌、双眸は紺碧二重。中性的な面立ち。身長173p、体格は華奢。右手首に錬成陣が刻まれたブレスをしている
性格:普段は比較的温厚。キレて黒人格が降臨すると絶対零度の笑顔&敬語
備考:『樹木』の二つ名を持つ国家錬金術師で植物関連の錬成ならお手の物。
外見からよく女と間違われ、揶揄の度合いが過ぎるとブラック発動。

後半の設定は次回で活かしたいと思います+(またやる気か)
ハニー、ありがとうでしたv


【H18/09/13】




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