まあ、とりあえずは。
「…お昼、付き合わない?」
腹ごしらえといきましょうか。
カチャカチャと音を立てつつ、あたし達は食事を進める。
メインストリートに面したお洒落な飲食店。
よくお兄ちゃんとも食べにくる店で、パスタが絶品だ。
「ラジハルトさんってこの街の人じゃないよね?何か用があって来たの?」
残りのパスタをフォークに絡めながら、あたしは口を開く。
この街でこんな美人を見てたら、絶対忘れたりしない。
あたしはよく見回りにも出てるし、必ず一度は見かける筈だ。
思わず食事に誘ってしまった訳だが、何か用があるのなら引き留めてしまっては迷惑だろう。
我ながら考えの無い事をした。
「用って言っても…仕事の一貫みたいなものかな」
「仕事?なら尚の事まずいよね、引き留めちゃってごめん!」
今更ではあるけど、一応謝っておく。
それでも彼は迷惑そうな顔をせず、笑ってくれた。
「いいよ。用があるのは明日だし…今日はゆっくりするつもりだったんだ」
それからレオンでいいよ、とこれまた綺麗な笑顔を見せてくれた。
…お兄ちゃんに会ったら、間違いなくナンパされるだろうな、こりゃ。
「じゃあ遠慮なくそう呼ばせてもらうね。あたしは…」
「クライサ・リミスクだろ?」
先程男達に名乗ったのを聞いていたらしい。
あたしはただ頷くしかない。
「クライサって呼ばせてもらうけど…いいかな?」
「あ、うん、もちろん!」
そう答えると、レオンはまた見惚れそうな笑みを見せてくれた。
そして会計を済ませ、店を出ると
「「あ」」
偶然通りかかったらしい、金髪の少年と目があってしまった。
「じゃ、そういう事で」
「おいクライサ、逃げんな?」
笑顔で立ち去ろうと方向転換するも、残念ながら肩を掴まれ失敗に終わった。
「何さ、何か用?」
「いや別に」
「なら引き留めんな」
無駄な攻防(?)をしてしまった。
引き留める必要無いのだろうから、下手な行動取らないで欲しい。
そんな事を思っていると
「エディ?」