(夏休み企画)





久しぶりの休日。





wonderful holiday





洗濯を終え一通り家事が済んだところで、自分以外誰もいない家の中を見回す。
今日は久しぶりにもらったお休みだ。
毎日の激務の疲れを癒そう、羽を伸ばそうと思っていたが、急に休暇をもらってもこれと言ってする事が無い。
そして退屈なのは性に合わない。

(さて、何をしようか)

部屋の片付け?
いや、それは疲れるし途中で嫌になる。
お菓子作り?
いや、それをするには材料が無い。
では、何をする?

「……久しぶりに出掛けるか」

幸い外はいい天気。
ただ家にいては勿体無いぐらいである。

そうと決まればすぐ行動を起こさねば。
下ろしていた髪を結いポニーテールにし、鞄を肩から掛けると、あたしは颯爽と家を出た。










街に出ると、やはり天気がいいせいか人通りも多い。
活気的って感じだな。

さて、まずは何をするか。

久しぶりにゆっくりショッピングでもするか。
そう思っていた矢先、あたしの耳に男の声が届いた。


「テメェどこに目ぇつけてやがる!」
「腕が折れちまったじゃねぇか!慰謝料よこしやがれ!」

長い黒髪の人物を囲むように、数人の男が立っている。
お、中心にいる人、美人さんだ。

彼らが何をしているのか。
台詞から大体予測がつく。
大方、腕が折れただのといった嘘をつき、ぶつかった人物から金を巻き上げようとしているのだろう。
典型的なチンピラだ。

「…ったく…」

溜め息をつくと、あたしは街人達の視線の先へと足を向ける。
当然そこには、男達。

「このアマ…っ!!」

何か口答えをしたのだろうか。
一人の男の手がその人に伸びる。

「ストーップ」

その腕を掴むと、握り締めながら男達へと視線を向けた。

「その辺にして、失せな」

そう言った瞬間、彼らの眉間の皺が増えた。
不機嫌…というよりは、既に怒りを大放出しそうだ。

「んだとこのガキ…ッ」
「!よせ、こいつ…」

男達の一人が、あたしに殴りかかろうとした男を止めた。
恐らく気付いたのだろう、あたしの正体に。






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