見事なドロップキックがロイの顔面に決まった。
彼はそのままK.O☆
『ちょっ…クライサ!?まだ試合始まってねぇけど…』
「いいよ、お兄ちゃんの負けって事で」
『いや、そういう訳には…』
「「……ちっ」」
ロイが勝ったら、スズとの結婚を望むのか。
(ぜっ…たい!嫌!!)
(負けられないね…!!)
初めて彼に殺意が芽生えた。
『決勝戦、開始!!』
素早く氷のナイフを錬成したクライサが、ロイに向けそれらを一斉に放つ。
だが
「──!!」
響く銃声。
ナイフが全て地面に落ちる。
ホークアイが、それを全て撃ち落としたのだ。
「…スズ」
「うん、無能の相手は私に任せて」
「セクハラされないように気をつけてね」
「了解」
再度ナイフを錬成する。
しかし今度は二本だけ。
それを両手に、逆手に持ち、ホークアイと向かい合った。
銃対ナイフ。
果たしてどちらが勝つのか。
ホークアイが引き金を引いた。
連続して撃ち出される銃弾。
しかし、クライサは避けない。
…いや、手にしたナイフの刃で、銃弾を全て弾いているのだ。
ホークアイの手の中の銃が、カチンと音を立てる。
銃弾が切れたらしい。
(今だ!!)
その瞬間に手にしていたナイフをニ本共投げ、ホークアイの両手の銃を弾く。
「くっ…!!」
彼女が腰からもう一丁の拳銃を出す前に、クライサが一気に間合いを詰めた。
「チェックメイト、だね。中尉」
ニッと笑んだ少女の手に、新たに握られたナイフ。
その先はホークアイに向けられている。
「…ええ。降参よ」
突如聞こえた歓声。
何があったのだろうかとスズ達の方へ目を向ければ。
満面の笑みを浮かべている少女と、頭から足までびしょびしょに濡れたロイの姿。
どうやらスズの錬成した水を、頭から被せられたらしい。
と、いう事は。
『優勝は…クライサ&スズ組だ──っ!!!』