大いに荒れる事が予想される、本戦トーナメント。

注目の第一試合は

『赤コーナー、小さな暴れ馬こと氷の錬金術師クライサ・リミスク!謎の黒髪美少女、暴走娘スズ・ナカハラ組!!』

「小さい言うな」

「やだ、美少女だって!うわ、どーしよ!!」

クライサとスズが姿を現した途端、観客達から沸き起こる歓声。
頑張って、可愛い、等の声援が贈られる度、スズは嬉しそうに笑みを溢した。

『青コーナー、黒髪美人な剣の達人リオ・エックスフィート!体壊すぜヘビースモーカー、苦労人ジャン・ハボック!!』

「美人?」

「苦労人って…確かにその通りっすけど…」

クライサ達の向かい側に現れた彼ら。
ヒューズの紹介を聞き、その姿を見、彼女がまず言った事は

「なんでリオが東にいんの!?中央に帰れ!!」

「帰れとか言うな!!」

リオは中央司令部所属のアームストロングの部下の筈。
何故東部にいるのか。

「楽しそうだから来た」

「「うわ、しょうもねぇ!!」」

ピッタリ合ったコンビの息。
クライサ達は、すぐにでも彼をぶん殴りたくなりましたとさ。

『と、とりあえず始めるぞー?』

「あ、はーい!」
「さっさと始めてよ」

『では…第一試合、始め!!』


その合図と同時に、スズ達は両手を合わせた。
片や二本の短剣を錬成し、片や地に掌をつく。

リオが愛剣を抜き、クライサに向かって駆け出した。
それに合わせ彼女も走り出し、手にした剣を振るう。
ハボックはと言えば、彼もまた駆け出していた。
向かう先にはスズ。
彼が走り出したのを見ると、少女達は同時に笑った。

「うお!!?」

突然彼を浮遊感が襲う。
何が起こったのか分からないまま、背中から地面へと倒れ込んだ。
受け身を取る事すら出来なかったため、その衝撃に堅く目を瞑る。

「ハボック!!」

それに気付いたリオが、彼へと目を向ける。
その隙を、彼女が見逃す筈が無いのに。

キィン、と甲高い音がして、彼の手から剣が弾き飛ばされた。
そして、喉元へ突きつけられた、二本の刃。
目の前には、少女の笑顔。


「……参った」






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