(夏休み企画)
「スズ!お願い!!」
突然訪ねてきた彼女が
突然頭を下げてきた。
I'm running with you
明日東方司令部で開かれる軍部祭り。
決まった周期で北、西、南、中央と開催地が変わっていくそれが、とうとう東で催される事になった。
その祭りのメインとされているのは、軍関係者ならば誰でも参加できる、バトルロワイヤル。
それに優勝した者には、大総統から何でも希望を叶えてもらえる権利が与えられる。
「それがね、何故か今回タッグ戦なの」
今まで開かれていた祭りでは個人戦だったのに。
両手を合わせたまま告げた空色の少女を見据え、黒髪の少女が口を開いた。
「…つまり、私とタッグを組みたいってこと?」
「その通り!」
空色の髪と眼を持つ少女。
名はクライサ。
東方司令部司令官の妹で、何かと有名な氷の錬金術師だ。
「なんで私?軍人じゃないのに」
「軍人であるあたしの友達。参加資格は十分にあるよ」
黒髪に黒眼を携えた少女。
名はスズ。
異世界からトリップしてきて、司令官──ロイによって保護された少女である。
ちなみに錬金術も使えるらしい。
「無の…じゃなかった、大佐は?あとエドとか…その辺と組めば最強そうなのに」
「それがねぇ…」
ロイは腹心であるリザ・ホークアイ中尉と組んでしまった。
彼の焔錬成、彼女の銃撃は非常に厄介。
クライサとスズの共通の友人である鋼の錬金術師、エドワードは、既にその弟のアルフォンスと組んでしまっている。
それぞれの錬金術も軽視出来ないが、兄弟二人のコンビネーションも侮れない。
かと言って負けたくはない。
司令部の連中と組むのはいいが、やはり人柄・実力共に信用出来る相手と組みたい。
そう考えた結果クライサが訪ねたのは、スズの元だった。
「スズならお兄ちゃん達とも顔見知りだし、もしかしたら少しは油断してくれるかもしれない」
それにスズは錬金術が使える。
戦闘の際、それは物凄く役立つのだ。
そして何より、彼女の事なら心の底から信頼出来る。
パートナーに、スズ以上に適した相手は見つからなかった。
「うん、私でいいなら協力するよ」
「ありがとうスズ!大好き!!」