最後の学期が終わり
一年が終わる





Murch(三月)





迎えた卒業式。
進路の決まった三年生達は、この日学舎を巣立っていく。
共に学校生活を過ごした学友達との別れを惜しみ、ある者は涙を流し。
後輩達から花束を受け取り、手にした卒業証書にぼんやりと目を落とす。
これまでの思い出達に想いをはせ、これからの新生活に不安を覚える。


そんな卒業式も


「あたしらには関係ありませんけどね!」

「酷い後輩だなオイ」

クライサ達は部活には入っていないので、親しい先輩は特にいない。
そこそこ三年生と面識があるのは、度々バスケ部の助っ人をしているエドワードぐらいだ。

「卒業かー…」

彼ら以外誰もいない教室で、窓の外を眺めながらクライサは呟きを漏らした。
彼女らはまだ一年生だが、時が経つのは本当に早い。
三年生になるのもあっという間だろう。

「みんなはさ、高校卒業したらどうするかって決めてる?」

一年時でこの話をするのはまだ早いかとも思うが、すぐに月日が過ぎてしまうのなら、考えておいた方が良いのではないか?

「あたしは就職かな。…って言っても、家業を継ぐつもりなんだけど」

ウィンリィの家では機械鎧の整備をやっている。
彼女自身も整備師を目指していたし、彼女に向いている職業だとクライサ達も思っていた。

「私は…まだあまり考えてないけど、一応進学しようかな」

「俺も。何したいか決まってないし、大学行って考えようかなって思ってる」

トワとラトは共に進学希望。
就職する気が無いのなら、大学に進む事も一つの手だろう。
彼女らの実力を考えれば、大学受験もそれほど苦労する事もなさそうだ。

「オレは…どうだろ。まだ何も考えてないからさ、進学とも就職とも言い辛い」

「良かった、あたしだけかと思ったよ、そういう人」

クライサもエドワードも、将来の事については何も考えていない様子だ。
まあ、まだ一年生なのだし、考える時間は十分にあるが。





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