『メリークリスマス!!』
終業式を終えた学校。
多くの生徒が下校した教室では、
……飲めや歌えやの宴会が繰り広げられていた。
December(十二月)
12月25日。
世間ではクリスマスと呼ばれるこの日に、ちょうど今学期が終了した。
学園長の長い話を聞いている振りをし、通知表に泣く者達を適当に慰め、面倒な登校日が終わった事に喜びの声を上げる。
先日の大掃除のおかげで綺麗になった教室内。
幾つかの机を寄せ集め、即席で大きめのテーブルを作成した。
生徒達が荷物を持ち帰り、がらんとした室内に残るのは
「よし、準備オーケー!」
エドワード
「じゃあお菓子並べよっか」
アズハ
「ちょっと暖房強すぎない?」
ウィンリィ
「うわスッゲ!誰が作ったんだ?コレ」
ツルギ
「アズハ、何か手伝おうか?」
ラト
「ちょっとツルギ!つまみ食いしないでよ!」
ユミ
「トワ、一応紙コップ買って来たんだけど…これで足りるかな?」
「大丈夫だと思うけど…あ、クライサ、ちょっとこっち手伝って」
クライサとトワ、の八名。
終業式の日がちょうどクリスマスだという事で、教室でパーティー(という名の宴会)を開こうと計画していたのだ。
教室使用の許可はとっていないのだが、注意されたところで彼女らには関係の無い事だろう。
「みんな飲み物は注いだ?」
「コップ持った?」
「では」
『乾杯!!』
机の上には、クライサやトワ、アズハ達が作ってきた菓子類が、所狭しと並んでいる。
持ち運ぶのは楽では無かったろう、ケーキまでもが皿の上で存在を主張していた。
「いやー、教室が使えて本当に良かったよ」
「許可はとってないけどな」
「あたしの家でも良かったんだけどさ。うちに集まると、ほら、うるさいのがつきまとってくるから」
「ああ、あの無能教師ね」
「トワ…お前、マスタング嫌いだろ」
話の内容は、いつも休み時間や放課後に話している事ばかり。
だが、雰囲気が少し違うだけで、彼女らにとっては新鮮だった。
パーティーを企画して、本当に良かったと思う。