「あ、トワみっけ!!」

「あー本当だ」

普段の制服とは異なった装いに身を包んだ、空色と金色の二人組。
その目は、彼女らの友人である少女へと向けられている。
視線の先の彼女もまた、いつもと違った服装で。

芸術の秋
スポーツの秋
食欲の秋

文化の秋

そう、今日は
待ちに待った文化祭。





October(十月)





「トワーっ」

「クライサ、ウィンリィ」

隣の教室に足を運び、目的の人物を探し始めて五分。
奥から出てきたトワの元へ、二人して歩み寄る。

トワの身を包むのは、所謂ウェイトレス服だ。
だがフリルの使われた可愛らしいものではなく、タイトなスカートの落ち着いたデザインである。
彼女のクラス、一年四組は、喫茶店を開いているのだ。

「すっごく似合ってるよ!可愛い!」

「ありがと。二人もよく似合ってるよ」

対する彼女らはと言えば。
クライサは口の端や目の周りに血のりを塗り、白い和服を着た幽霊のような姿。
ウィンリィはメイクによりゾンビと化している。
彼女らのクラス、一年三組の出し物はお化け屋敷なのだ。

「あれ、いらっしゃい二人とも」

声のした方に顔を向けると、そこには見知った少年がいた。
ラトだ。
彼もまた、トワのものと似たデザインのウェイター服を纏っている。

「お邪魔してまーす」

「いいよ。どんどん邪魔して」

「じゃあ手始めに、アイスコーヒーとレモンティーお願い出来ますかー?」

「かしこまりました」

クスクスと笑いながらのオーダーを終えると、ラトは店の奥へと消えて行った。
その後ろ姿を、クライサはぼんやりと見送る。

「クライサ?」

「いや…なんかサマになってるなーって思って。ラト、ウェイターのバイトとかしてた?」

「してなかったと思うけど…」

トワもそうだが、彼は何事もそつなくこなしてしまう。
何というか、感心するほかない。
「そういえば、エドはどうしたの?」

「エドなら、バスケ部の招待試合の助っ人」

「また助っ人…」

余程人手が足りないのか、バスケ部。

「ま、エドがいるなら勝ちは確実だね」

「…ああ、それが狙いかもね」

部員は足りているが、勝つためだけにエドワードに助っ人を頼んだのか。
有り得ない話ではない。





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