それでも、暑いからと言って出掛ける事を拒み、仲間達と遊ぶ時間がなくなってしまうなんて絶対嫌だ。
その気持ちを読み取った兄の許しを得て、彼女は数日間トワの家に世話になっている。
これなら外に出られなくても、彼女と一緒にいられる、というわけだ。
「それは私としても嬉しいんだけど、やっぱり外でデートも捨て難いなぁ…」
「あーもうっ!ごめんなさいってば!!」
「冗談だよ」
両腕を振り上げたクライサの姿に、トワがクスクスと笑みを溢す。
それが何だか悔しくて。
でも、やはり
(チクショウ、大好きだ!!)
所謂、惚れた弱みというやつなのだろうか(少し違うけど)。
どんなにからかわれたって、どんなに悔しくたって、トワの笑顔の前では、結局何もかも許してしまう。
相手が、例えばエドワードやツルギだったとしたら、こうはいかないだろう(ラトだったら、どうだろう)。
少しでもからかいの表情を見せられたら、その倍以上でお返しをする。
やられたらやり返せ、が彼女のポリシーなのだから。
「………あのさ」
そんな、大好きな人の願いを
「あたし、暑さに負けないように頑張るからさ」
何が何でも叶えてあげたい、と考えるのは
「一緒に、遊びに行こう?」
やっぱり馬鹿な事なんだろうか。
返事の代わりに見せてくれた、何よりも美しい彼女の笑顔が、クライサの目に、胸に、心に刻まれて
(くそぅ、ますます好きになった…)
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