「トワー会いたかったよー寂しかったよーッ!!」
「私もだよ、クライサ。何年も会えなくて寂しかったわ」
「さっき休み時間に会ったばっかりだろ…」
「駄目ね、エド」
「こういうのは雰囲気が大事なんだよ」
「さいですか…」
隣のクラスで談笑していたトワ達は、やはりどちらも余裕に満ちた顔だ。
さすが。
というか、彼女らの焦った表情をほとんど見た覚えが無い(特にトワ)。
「かったるいテストも終わった事だし、どこか遊びに行こうよ」
「賛成ー」
「どこ行くんだ?」
「そうね…ボウリングとか…?」
「いいね、男子チームと女子チームに分かれて対戦だ!」
「「クライサとトワのチームに勝てるわけないだろ」」
「エド!」
机や椅子に腰掛け四人で話していると、廊下の方からの声にエドワードが振り返る。
何事かとそちらに目を向ければ、そこにはユニフォーム姿の男子が数人いた。
バスケ部の面々らしい。
知り合いなのか、呼ばれたエドワードが廊下と繋がる扉の元へと歩いていく。
何かあったのだろうか、両手を合わせて頭を下げる面々に、彼は困ったような表情だ。
「どうかしたの?」
やがてクライサ達の元へと戻ってきたエドワード。
だが彼は荷物を持つと、ごめんと一言彼女らに告げた。
「バスケ部の連中、これから別の高校と練習試合があるらしいんだけど、メンバーが足りないんだと」
それでエドワードに助けを求めに来たというわけだ。
彼の性格上、あれだけ必死に頼まれると、そうそう断れないのだろう。
「じゃあこれから試合なの?」
「いや、もう一人メンバーを探しに行かなきゃならな…」
そこまで言って、エドワードとクライサは目を見開いた。
そしてそれを、ほぼ同時に同じ方向へと向ける。
「……何」
彼らの視線の先。
そこにいるのは黒髪黒眼の少年だ(言うまでもなく、ラトの事だ)。
「お前バスケ出来たよな!協力しろ!」
「え、嫌だよ面倒くさい」
「いいじゃない。行ってきたら?」
「バスケ部のみんなのためだよ、ラト」
「しょうがないなぁ」
「早っ!!オレに対する態度と違い過ぎるんじゃねぇの!?」