最終種目、軍対抗リレー。
体育祭中最も白熱するこの競技の開始時点で、東軍と他軍との点差は300点以上。
たとえ東軍ランナーが最下位になったとしても、もはや逆転の可能性は無い。

かといって

「手加減する必要はなーし」

「了解です」

ほら、叩きのめすと決定しちゃいましたし。
アンカーを任された美女桜に全てを委ねましょう。


騎馬戦では、宣言通り東軍以外の騎馬は全滅。
男子の部ではエドワードの、女子の部ではクライサの活躍による勝利である。

ラトの参加した棒倒しも、素晴らしいまでの圧勝。
高校生にもなってやるのか、と馬鹿にしていた玉入れに参加したウィンリィは、日頃エドワードに向けスパナを投げている成果か、勝利に著しく貢献した。

ちなみにクラス対抗リレーの結果はと言うと、三組と四組のアンカーの一騎打ちとなり、最終的には同着となったのだった。
誰がアンカーを務めていたのかは、わざわざ言うまでもないだろう。


バトンを片手に駆けるランナー。
順位はめまぐるしく変わっていき、応援席の生徒達は声を張り上げる。

「トワ──ッ!!」

バトンを落とすというハプニングにより、アンカーである彼女の出番がやってきた頃には、前には二人の選手。
どちらも男子生徒で、その背中は既に50メートル程先にある。

あれだけ離れてたら抜かすのは無理かー。
リレー三位でも優勝に変わりはないし、いいんじゃね?
何が何でも一位にならなきゃいけないわけじゃないしねー。

諦め始めた仲間達の中で、彼女らは真っ直ぐに少女を見つめていた。
大声で名を呼ぶウィンリィ。
腕を組み黙って彼女を見るエドワード。
口元に笑みを浮かべるラト。
そして、信頼・確信を胸に、前を行く走者達を抜かしていく相棒を見守るクライサ。

一位の選手がゴールした瞬間、歓声がグラウンドを包んだ。


「トワ最高!!大好き!!愛してる!!」

「ありがとう。私も大好きよ、クライサ」

ゴールテープをきった瞬間に飛び付いてきた相棒にも、見事一位の座を奪い取った少女は落ち着いた表情のまま接した。
それは彼女らのいつものやり取りなので、今更エドワードがツッコミを入れる事でもない。


更なる点差をつけて、東軍は圧倒的な勝利に再度歓声を上げるのだった。





⇒Next【June】



[index]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -