編成されたばかりのクラス。
漸く慣れてきた教室。
未だに馴染めない同級生達。

子供と大人の中間地点。
そのスタートラインに立ったばかりのひよっこ共に与えられるのは、試練。

新たな友との団結力が試される、年に一度の『体育祭』





May(五月)





「よっしゃ野郎どもーっ!!勝つよ!!男なら勝て!!女なら負けるな!!」

『おぉ────ッッ!!』

異様にハイテンションな少女の大声に、クラスメイト全員が声を揃えて応じる。
本来学校行事の中心となるべき二年生ではなく、一年生のとあるクラスの面々だ。

普通、まだ入学して一ヶ月程しか経っていないこの時期、馴れ始めのクラスが一致団結するのは難しい。
それを軽く覆してしまったのが、このクラス、一年三組である。

「優勝はあたし達東軍がいただく!オーケー?」

『おぉ─────ッッ!!』

この学園の体育祭では、各学年八つずつあるクラスを東西南北の四つに分ける。
一年一・二組、二年一・二組、三年一・二組の六クラスが北軍、というように。

四つの軍のうちの一つ、東軍は、今年はほぼ確実に優勝するだろう事が予測出来ている。
何故なら

「三組はバッチリ団結出来てるよ、トワ」

「四組もよ。リレー選手達の調整も完璧だよ、クライサ」

一年三組リーダーであるクライサ・リミスクと、四組リーダートワイライト・コスモス。
この二人が揃ってしまっているからである。
元々東軍には運動神経の良い生徒が集まっていたのだが、彼女ら二人の身体能力は半端ではない。
そんな二人が揃ってしまった時点で、彼女らの勝利は見えているのだ。

「ま、だからといって手を抜く事はしないけどね」

昼休みの時間になり、広いグラウンドで集まったいつものメンバーと共に食事をとる。
広げられた青いシートの上。
並びはいつものように、クライサから時計回りにトワ、ラト、ウィンリィ、エドワードだ。

「少しぐらい逆転の余地も与えてやればいいじゃねぇか」

手加減の欠片も無い少女達に恐ろしさを感じつつ言ってから、エドワードは唐揚げを頬張る。
シートの上に広げられた大きめの弁当箱から玉子焼きを取りながら、クライサは隣の少女と一緒に彼へと目を向けた。





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