「リミスクがモテるのは生徒だけじゃねぇもんな」
「数学担当のリオ先生でしょ?」
「国語担当のマスタング先生だってそうでしょ?クライサと一緒にいるとこ、よく見るわよ」
「呼んだかい?」
「「「マスタング先生!?」」」
(登場人物多いな、この話…)
読者的思考を持ちつつ、クライサは現れた男に目を向けた。
それはもう、どこからどう見ても不機嫌面で。
「リミスク、教師にそんな態度を取っていいのか?」
「…何しに来たんですか、マスタング先生」
黒髪を携え黒眼を細めた、ラトとはまた違った風貌の男。
ロイ・マスタング。
彼は何かとクライサを気にかけ、ちょっかいを出している。
「可愛い妹に悪い虫がつかないように見張ってるんじゃないか」
「敢えて言うなら、お兄ちゃんが一番の悪い虫だよ」
その理由は、彼女らが兄妹だからだ。
だが実際に血が繋がっている訳ではないので、容姿は全く似ていない。
ファミリーネームですら違うのだ。
「…で。結局何しに来たの?」
「一緒にランチでもどうだい?」
こいつもか。
なんで皆、そんなに昼食に誘いたがるのだろうか。
「…昼休みは職員会議じゃなかったの?」
先程放送があった。
当然目の前に立つこの教員も参加しなければならない筈。
こんな所にいる場合ではないだろう。
「私一人いなくても大丈夫だよ」
「お迎えが来てますけど?」
「ローイーせーんーせー」
「なっ…エックスフィート!?」
背後に現れた男性、リオの姿を目にすると、ロイはその目を見開きすぐに嫌そうに顔を歪めた。
長い黒髪をポニーテールにし、青がかった紫色の眼をした若い男性。
新米ながらも教師としてなかなかの実力を持つ、リオ・エックスフィート。
剣道部の顧問もしており、ロイ同様生徒達から絶大な人気を持つ彼だが、22歳のくせに生徒と一緒になって遊んでしまうのが玉に傷。