依存している自覚は、ある。

ふとした時に彼女の笑顔を思い出す自分がいたから。
夕焼けに彼女を重ねる自分を知っているから。
彼女と共にいる自分は、心から安堵していたから。

だからこそ、いつか違う道を選ぶ時が来るかもしれないと、心に覚悟を強いてきた。
けれど、出来なかった。
その結果が、この現状だ。
無様な、自分。

(でも、)

『おかえり』

そう言って、迎えたかった。
焦がれた笑顔を。

声を聞きたかった。
触れたかった。



……会いたかった。



「ト、ワ」

「うん」

「……トワだ」

「うん」

目を開けて一番最初に映ったのは、美女桜色。
初めて見た時は、珍しい色だと、綺麗な色だと思って、頭を離れなくなってしまった。

目が合った、真紅。
自分のそれと正反対の色。
けれどどうしようもなく惹かれて、そこに映る自分に幸せを感じるようになった。

「いつ、戻ったの?」

「ついさっきだよ」

体を起こして、目の高さを合わせて。
視線の先の笑顔に、涙が出そうになった(いや、出るわけがないのだけれど)。

「……会いたかったよ…」

「うん」

「トワぁ…」

抱きついた自分の背に腕を回して、抱き締めてくれる彼女が好きだ。
歪めた顔を胸に埋めてすがる自分の、頭を優しく撫でてくれる彼女が好きだ。
不細工な顔で見上げた先で、柔らかく笑った彼女が、

(大好きだ)





ベッド脇に置かれた椅子に座るトワ。
その背後の壁際で彼女らを見守っていた者たちは、皆それぞれに安堵していた。
東方司令部仮眠室。
その一角で行われている再会劇に、一部感動し(フュリーあたりが)、微笑んだりして。






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