3 ●エアル アカ「次は魔導器の話だが、その前にエアルの話をするよ。この世界に満ちる生命の根源で、万物を構成するエネルギーの源、それがエアルだ」 カロ「エアルって、魔導器を動かすために必要なものとしか思ってなかったよ」 リタ「これだから素人は…。エアルはね、ずっと昔、世界が形づくられる時に使い尽くされずに残ったエネルギーが、そのままの形で地中に残ったものなのよ」 カロ「地中に?じゃあエアルってどこにでもあるものなの?」 リタ「ええ。逆に、特に噴き出す場所というのもあるわ。それがエアルクレーネね」 アカ「エアル無しでは生物は生きられない。だが、濃度が高すぎても悪影響がある。カロルも知ってるね?植物を異常発達させ、魔物を凶暴にさせる。もちろん人体や魔導器にも影響があるよ」 リタ「エアルは常に濃度を一定に保とうとする性質があって、エアルを消費するとその分を補うために、新たなエアルが大地から供給されるの。だから、魔導器を使いすぎると、エアルが激しく欠乏すると同時に、それを補おうと地中のエアルが過剰に放出されるという歪みが生じてしまう」 アカ「それがヘリオードやケーブ・モックで見た現象なんだね」 カロ「エアルが真っ赤になってたよね…」 リタ「通常エアルは緑色なんだけど、濃度が増すと赤く変色するのよ」 ●魔導器 アカ「さて魔導器だ。専門家さんがわけわからん用語並べる前に説明するよ。ちなみに、読み方はブラスティア、が正解だ」 レイ「魔導器は、エアルをエネルギー変換し、魔核に刻まれた術式を行使する装置。簡単に言えば、エアルが動力の道具ってとこだな」 アカ「ん。エアルを電気と考えた電気機器って考えると楽だろうね、現代っ子的には」 レイ「……ん?」 アカ「古代ゲライオス文明時代にクリティア族によって発明されたもので、現在の技術では造るのは極めて難しく、大部分は遺跡から発掘されたものを修復して使用してる。その威力・影響力から帝国の管理下に置かれ、私的な所有には厳格な条件や報告義務がつきまとうんだよ」 レイ「けどま、ギルドにはそんなこと関係ないけどね。『遺構の門』みたいな発掘ギルドのおかげで、帝国通さんでも手に入るようにはなってるし」 アカ「例としては、まずは結界魔導器だね。魔物の侵入を防ぐ結界を展開する魔導器で、基本的にはどの街にも置かれてる」 レイ「結界無いと安心して昼寝も出来ないもんねぇ」 アカ「いや出来るけど。次に武醒魔導器。身につけた者の戦闘能力を飛躍的に向上させ、術技を扱うことも可能になる。ユーリやエステルが腕に、リタが首につけてるように、装飾品を模した形にするのが一般的だね」 レイ「お前さんは足首につけてんのよね」 アカ「ああ。他には、各家に水を供給する水道魔導器、照明の役割をする光照魔導器、船などの動力になる駆動魔導器…挙げると尽きないぐらいあるよ」 レイ「俺らの暮らしが魔導器によって成り立ってるって証拠だな」 リタ「あれ?なに、終わっちゃったの?」 アカ「さ、次行くよー」 ×
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