49 バルボスは逃げ去り、ユーリは竜使いと共に彼を追い、騎士団とユニオンの衝突は免れた。…となれば、アカのすべきことは決まっている。 「アカ、どこ行くの!?」 「奴の行き先はわかってる。ユーリ追っかけるならついといで」 「う、うん!」 ラゴウはフレンをはじめとした騎士団が捕まえてくれるだろう。街に残っている『紅の絆傭兵団』の者はユニオンが抑える筈。ならば自分たちがすべきは、ユーリを追い、共にバルボスを倒すことだ。 街を出るべく橋を渡ったところで、騎士団と睨み合いをしていた平原から戻ってきたドンに遭遇した。 「アカ、バルボスの奴はどうした」 「逃げた。ガスファロストに向かったんだろうよ。例の竜とユーリが追った」 「で、テメェらも向かうところか」 「ああ。とりあえずあんたに報告して……ついでに拾いものをしてこうかと思ってね」 その言葉で彼女の言いたいことを理解したドンは、後方に立つ人物を顎で示した。 「持ってけ。どうせこっちにゃ必要ねぇやつだ」 「あいよ」 ギルドと騎士団にはドンから真相が伝えられたため、もう衝突の心配はないらしい。確かに辺りにいるギルド員たちには先程までのピリピリとした気配はない。いや、騎士団のかわりに『紅の絆傭兵団』に対する敵意を抱いているという点では、先程とそう変わらないかもしれないが。 いずれにせよ、この街はとりあえずドンに任せておけばいいだろう。彼の許可も得たことだしと、再び歩き出したアカはドンの脇を通り過ぎ、その後ろで欠伸をしていたレイヴンの横で立ち止まった。 「仕事だよ」 「え、何?俺様、本部戻ったら寝ようと思ってたのに」 「それは構わんよ。本部戻る前に別の場所に付き合えってだけだから」 「……お前さんも人使い荒いよなぁ」 「なに、ただ悪党の本拠地潰しに行くだけさ」 それに深々と溜め息をついたレイヴンは、しかし拒否権はないと知っている。嫌々ではあるが了承すると、最後尾を歩くリタの横についた。 「それで、バルボスはどこにいるんです?」 「ガスファロスト。ダングレストの北西にある、海に面した砂丘の中央に聳え立つ塔さ」 カロルが首を捻った。街の北西にそんなものがあっただろうか。確か、竜巻が起こっているとか何とかと聞いたことはあったのだが。 「ああ、バルボスの奴が魔導器で塔の周りに竜巻を起こしてんのさ。侵入を防ぐためだろうね」 だが竜使いが奴を追ったなら、竜の吐き出す火球でその魔導器を破壊出来る筈だ。竜巻が止まれば外からの侵入も可能だろう。 「そんじゃ、行きますかね」 悪党をぶっ潰しに ×
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