赤星は廻る | ナノ



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「君は帝国直属の魔導器研究所の研究員だ。我々からの仕事を請け負うのは君たちの義務だ」

任務を拒むリタに返すアレクセイの言葉はもっともだ。しかし彼女はそれに頷かず、睨むようにして男を見る。先のリタの発言に目を丸くしていたエステルが、慌てた様子でアレクセイの前に立った。

「あ、え、えっと…それじゃあ、わたしがその森に一緒に行けば問題ないですよね」

「姫様、あまり無理をおっしゃらないでいただきたい」

当然、アレクセイがそれを許すわけがない。しかしエステルは食い下がる。ぐいぐいぐいぐい食い下がる。

「エアルが関係しているのなら、わたしの治癒術も役に立つはずです。お願いです、アレクセイ!わたしにも手伝わせてください」

「しかし、危険な大森林に姫様を行かせるわけには」

「それなら……」

彼女の目が、そのやり取りを見守っていた青年に向けられる。

「ユーリ、一緒に行きませんか?」

「は?オレが?」

「ユーリが一緒なら、かまいませんよね?」

なんという強引さだ。ユーリが是非を言う前に、姫君は騎士団長を説き伏せようとしている。リタもカロルも口を挟む隙が無い。

「青年、姫様の護衛をお願いする。一度は騎士団の門を叩いた君を見込んでの頼みだ」

暫し黙り込んでいたアレクセイが、とうとう折れた。彼の言葉にユーリはやれやれと溜め息をつく。結局こうなるのか。

「……なんでもかんでも勝手に見込んで押し付けやがって」

「その返答は承諾と受け取ってもかまわないようだな」

「ただし、オレにも用事がある。森に行くのはダングレストの後だ」

「致し方あるまい」

ではダングレスト経由でケーブ・モック大森林に向かおう。エステルが一礼して、アレクセイに背を向けた青年たちの後を追う。街の外へと歩き出した彼らを見送りながら、アレクセイは言った。

「君にやってもらう仕事が出来た」

その声に応じるように結界魔導器の裏から姿を現したのは、あの橙のサーコートを身につけた騎士だった。





「あ!アカ!」

街を出て数分、街道脇の木に背を預けて座っている人物の名を、カロルが呼ぶ。彼らを待っていたのだろう、その姿を見つけたアカがゆっくりとした動作で立ち上がった。

「どこ行ってたんだよ!探しちゃったよ」

「悪かったって。騎士様に会うの苦手なんよ、緊張しちゃうから」

「(嘘くせぇ)」

だから街の外で待っていたのだ、という彼女の言葉にひとまず納得して、次の目的地を告げる。

「ダングレスト?」

「ああ。『紅の絆傭兵団』の足取り、途絶えちまったからな」

「あと、ギルド作りの参考にするためにね!」

「なに、君らギルド作んの?」

嬉しそうにカロルが頷き、ユーリが肩を竦めた。どうやらリタが倒れた時、部屋の外でそんな話をしていたらしい。すっかりその気のカロルの頭を撫でるユーリに意味深な笑みを向けると、彼はうるさがって顔を背けてしまった。





いざ、ダングレストへ!



SKIT
エステルって





 


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