15 「あれがフレンかぁ。なんか真面目っていうか頑固そう」 「そうそう。融通もきかねぇし、小うるさい奴だぜ」 宿屋に行ってみたものの、外で雨宿りをしていたリタやカロルに、エステルとフレンが込み入った話をしているようだからと言われ、ユーリとアカは先に街の中を見て回ることにした。 「そういえばお前、フレンのこと知らなかったのか?情報屋なのに」 「ん。基本的に騎士団には関わりたくないから、帝国側には情報網広げんのさ。こっちのこと知られっと面倒だし」 「へーぇ。そのわりにはルブランやデコボコは知ってるじゃねぇか」 「あの三人は下町行った時によく見るからね。主に君の関係で」 「……そーかい」 街の中の橋を渡ってみると、一際大きな建物を見つけた。どうやらあれが執政官の屋敷らしい。その門を守るのは柄の悪そうな男たちで、確かに街の者は近付き難いだろうなと納得した。 「ん?」 そう思った矢先に、そこに向かって歩いていく小さな人影を見つけた。黒い海賊帽を被り、金髪をおさげにした少女。何事かと眺めていた彼らの前で、少女は堂々と屋敷に入ろうとし……門番に襟首を掴まれ、放り投げられた。 「おいおい、こんなガキ相手に大人気ねぇな」 宙を舞った彼女を抱き止めたのはユーリだ。ナイスキャッチと拍手をしつつも、アカは門番には何も言わず状況を見守っている。 少女は地面に下り立つと、再チャレンジと言わんばかりに駆け出した。が、門番が持った剣を彼女の鼻先に突きつけたことにより、少女は後退る。丸腰の子ども相手に剣を抜くとは。恥ずかしくないのか、と呆れた顔でユーリが言うが、彼らは気にも留めていないようだ。 少女は門番を攻略するのは難しいと判断したのか、煙幕を張ってその場から逃げ出した。ユーリがその腕を掴んで引き止めたが何のその、煙が晴れた時、彼が握っていたのは少女に似せて作られた人形の腕だった。 「何だったんだ?あいつ……」 「さあねぇ……」 人形を渡されたアカが、苦笑しながらそれを抱く。門番たちに難癖をつけられるのも迷惑なので、早々にその場を後にすることにした。そろそろエステルたちの話も終わった頃だろうし、宿屋に向かうか。 「……どうした?」 「んー……あの門番、多分ギルドの人間だなーって」 「へぇ?」 「……ユーリくん、シャイコス遺跡で捕まえた魔核泥棒、黒幕はどんな奴だって言ってたっけ?」 「顔の右側に傷のある、隻眼でバカに体格のいい大男……だったか?」 「……だよねぇ……」 「?」 ってことは、やっぱそうなのかね…… ×
|