14 城やハルルで見た赤眼たちが路地に入っていくのを見て後を追ったユーリは、刃を交えた相手が思っていたよりも手強いことに舌打ちした。一人一人の力は、よく鍛えられてはいるもののユーリには及ばないが、連携で攻めてこられては、この狭い路地、避けるのは正直難しい。 まずい、と思った時には既に刃は目の前まで迫っていた。同時に背後に気配を感じ、しかしそれが殺気でないことを知って一瞬動きが止まる。その隙をつくように、後方から駆けてきた人間に体当たりを食らい、地面に尻餅をついたが、刃が振り下ろされたのはユーリにではなかった。 鋭いそれを剣で受け止めた彼は勢いをつけて押し返し、二人の赤眼が飛び退いたところで一度腕を下ろして振り返る。ユーリの目に映ったのは、金髪の騎士。 「大丈夫か、ユーリ」 見間違う筈がない。彼は親友、フレン・シーフォだ。 「フレン!おまっ……それはオレの台詞だろ!」 「まったく、捜したぞ」 「それもオレの台詞だ!」 距離をとった二人とは反対の方向で、両手に刃を持った男がゆらりと立った。彼が走り出す瞬間、狙ったようにユーリは衝撃波を飛ばし、襲ってきた二人にフレンと共に対する。刃を受け止めたのは同時、背後からの攻撃を、剣を素早く押し返し飛んで避けたのも同時。そして剣の振りで衝撃波を生み出し、バランスを崩した三人を吹き飛ばしたのも同時だった。 飛ばされた赤眼たちが崩れた荷物の下で伸びているのを確認し、ひとまず落ち着いたかのように見えたが、再会を喜ぶ間もなく親友に斬りかかられ、鞘に収めた剣でそれを防ぎながらユーリは慌てた。突然何をするんだと問えば、彼は剣の先で壁に貼られた手配書を指し、釣られるように目を向けた青年の顔に笑みが浮かぶ。 「あ、10000ガルドに上がった。やりぃ」 ハルルで見た時は5000ガルドだった。安過ぎやしないかと文句を言っていたが、倍にはね上がったそれを見て嬉しそうに笑うユーリに、フレンは憤り半分呆れ半分で言う。帝都を出たのは、犯罪者になるためではないだろうと。 またうるさい小言を聞くはめになるのかとうんざりしたが、足音が聞こえて路地の入り口を振り返った。駆けてきた桃色の少女の姿に、ちょうどいいところに、とユーリは笑みを浮かべ、フレンは驚きで目を見開く。 「フレン!」 「エステリーゼ様!?」 怪我は無いかと心配してくる彼女を宥め、その手を引いて駆け足気味にフレンは去っていった。落ち着ける場所へと、宿屋にでも向かったのだろう。 「オレたちも行くか。な、アカ」 「そうさね」 頭上を仰いだ青年の言葉に女の声が返り、たん、と小さな音が響くと同時に人影が降ってくる。屋根の上で傍観していたらしいアカと目を合わせると、ユーリはわざとらしく肩を竦めた。 見てたんなら手伝えっての ×
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