友好協定について 二章、トリム港到着 (ユーリ、アカ、レイヴン、エステル) ユリ「そういえば、帝国とユニオンの友好協定ってどうなったんだ?」 アカ「あー、あのヨーデルって殿下とドンがやりとりしてるみたいだが、あんま順調とは言えないね」 レイ「ヘラクレスってデカ物のせいで、ユニオンは反帝国ブーム再燃中だからね」 アカ「ドンが帝国に提示した条件は、対等な立場での協定だ。だが、あんなのがあっちゃ対等とは言えない」 ユリ「それがわかっててあんなデカ物出してきたのか、あの殿下」 エス「いえ、ヨーデルは知らなかったんだと思います。騎士団は、皇帝にのみその行動をゆだね、報告の義務を持つ。ヨーデルにもわたしにも、騎士団の指揮権限はありません」 ユリ「なら、話は簡単だ。皇帝になればいい」 エス「それが……わたしたちがそのつもりでも、今は帝位を継承出来ないんです」 アカ「なんでだい?」 エス「帝位継承には、『宙の戒典(デインノモス)』という帝国の至宝が必要なんです。ですが、『宙の戒典』は十年前の人魔戦争の頃から行方不明で……」 レイ「ふーん、次の皇帝が決まらないのは、そういう裏事情があったのね」 ユリ「……だからラゴウは『宙の戒典』を欲しがってたのか……」 アカ「ん?ユーリくん、何か言ったかい?」 ユリ「いや、なんでもねぇよ」 レイ「解せないのは、反発が生じるとわかっててヘラクレスを持ってきた騎士団だな。まさかそこまで考えてなかったってことはないだろうし」 アカ「……反発が生じても構わなかった?」 ユリ「……やめようぜ。憶測で語ったってロクなことがねぇ」 レイ「それもそうだ」 面倒なことにならないよう祈るしかない ×
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