「でもランピーさんとラッセルさんとハンディーさんの三角関係でもいいわよねぇ〜!」 「私はトゥーシーとカドルスでも良いと思うの!トゥーシーはツンデレだけど案外嫉妬深かったら萌えるわ!」 「あ、あの!」 どうかした?という顔で振り向いた親子二人に私は笑いながら口を開く。 「帰っていいですか?」 ⇔ 「おかえりなさいママ!…あれ?なまえじゃないの」 「コンニチハギグルスチャン」 スーパーで声をかけた綺麗な女性ことギグルスちゃんのママさんに案内されて部屋に入ればそこにはギグルスちゃんが可愛らしい笑顔を浮かべながら待っていた。 私に気づくなり多少驚いた素振りを見せたものの直ぐに何かを理解したらしく楽しそうな笑みを浮かべだした。 私にはその笑みが怖くて仕方ないのですがね。 座って座って!とママさんに肩を捕まれてそのまま椅子へと座らされママさんはそのままお茶の準備するわね!と言ってキッチンへと姿を消してしまった。 そうなると必然的にギグルスちゃんと二人きりになってしまう訳で、私は意味もなく視線をさ迷わせていた。 「ねえ」 「ぅえ!なななにかな!?」 うわっ声裏返った。 恐る恐るギグルスちゃんを見てみればギグルスちゃんの視線は私の左手へと向いている。 そこはこの間のカドルスくんとの一件であの後痣になっていたので、ランピーさんが湿布と包帯を巻いてくれたのだが(妙に手慣れた様子だったから聞いてみたら医者やってるからねーと言われて驚いたのはまた別の話である)それほど大した怪我じゃない。 「なんであの時頷かなかったのよ」 「へ…?あの時?」 「カドルスに嬉しいか聞かれたとき」 「えっと……あぁ!あの時!」 カドルスくんが手を繋いできた時、だよね。 「頷かなかったも何も、いきなりで驚いて…」 「でもその後手を怪我した時に例え嘘でも頷けばよかったじゃない」 ギグルスちゃんの言葉に思わず目を丸くして瞬く。 その後というのはカドルスくんに手を強く握られた時のことを指しているのだろう。 あまりの痛さにカドルスくんの問いに答えなかったが、嘘でも頷くことぐらい出来ただろう、ギグルスちゃんはそう言いたいのだろうか。 頭の中にあの時のカドルスくんを思い浮かべて首を傾げる。 どうしてカドルスくんはあんな目をしていたんだろう。 まるで嫌われているのを恐れているような、愛されるのが当たり前というような。 そんな目をしていた。 「カドルスは愛されたがりなのよ」 「愛されたがり…?」 「詳しくはわからないんだけど、カドルスは愛されたいの。ううん、自分は愛されるべきなんだと思ってるのよ」 まあそんなところも好きなんだけどとギグルスちゃんが続ける。 そういえばギグルスちゃんってカドルスくんのこと好きなんだっけ。 「でもカドルスは私達のことを嫌いなのよね。ほんとむかつくわ」 「え!?ど、どういうこと?」 「カドルスは愛されたがりなのと同時に人間嫌いってことよ」 なんだそれは。 愛されたいくせに嫌ってるって… 「好きになれないタイプだなぁ…」 ぽつりとそう呟けば、ギグルスちゃんが少し目を見開いたがすぐに元の表情に戻って呆れたように溜め息を吐いた。 え、な、なに? 「それカドルスの前で言ったら次はそれくらいじゃ済まないわよ」 私の左手を指差しながらそう言うギグルスちゃんに苦笑いして気を付けるよと頷く私にそれから、とギグルスちゃんは言葉を続ける。 「身近にいる人程信用しない方がいいかもね」 「?それって「おまたせ〜」 どういう意味?という言葉はカップとお皿を乗せたお盆を持って戻ってきたママさんによって遮られてしまった。 さて、と楽しそうに笑いながら口を開くママさんに冒頭に戻る訳なんだけど、ギグルスちゃんも腐女子だったのか。 「何言ってるのよなまえちゃん!まだまだこれからじゃない!ランピーさんとラッセルさんのこと、詳しく聞かせて貰うわよ!」 「やっぱりなまえも腐女子だったのね!そうなんじゃないかと思ってたのよ!」 「うん、どうしてそうなった。違うよ?違うからね?」 確かに一度はそんな道に走りかけたことはあるけど、今は違うから! とゆうか私のどこに腐女子に見える要素があったというんだ。 結局帰るタイミングを失ってしまった私はクッキーを口に運びながら二人の話に耳を傾けるしかないのだった。 『一番身近にいる人程信用しない方がいいかもね』 あれは一体どういう意味だったんだろうか。 (121115)カドルス編に突入する前に空気な彼と一度お話します。早く違うキャラも出したいですね。 |