お腹が空いたので財布片手にスーパーに向かえばその道中、梯子を登ってなにやら作業しているハンディーさんを見掛けた。
声をかけようとしたら、どこからか飛んできた野球ボールがハンディーさんのヘルメットを被ってる頭にクリーンヒットし、ハンディーさんはバランスを崩してそのまま後ろへと倒れる。


「ハンディーさん!」


慌てて財布を放り投げて走ってハンディーさんを受け止める。
しかし私がハンディーさんを受け止められるはずもなく、そのまま私は地面に倒れ込み、更にハンディーさんが私の上に倒れ込む。


「ブブフォッ」

「うお!?なまえ!?わ、悪い!大丈夫か!?」

「だ、いじょうぶ…ですよ……だけど、最後に、お肉が食べたかっ、た………」

「なまえー!!!!」

「なにやってんだお前ら」

慌てて私の上から起き上がったハンディーさんにそう言ってパタリと全身の力を抜いて目を閉じるとハンディーさんが泣き叫ぶ。
その後に呆れたような声に目を開けばラッセルさんが野球ボール片手に立っていた。
お前か。


「言っておくけど俺じゃないからな。ランピーが打ったんだよ」

「またランピーか」

「あれ、ハンディーさん泣いてたんじゃなかったっけ」

「ノリでな」


ノリかよ。
てかランピーさんかよ。


「なまえ、さっきはありがとな。おかげで助かった」

「いえいえ、いつもお世話になってますし」


怪我ないか?と聞かれてお腹が空きすぎてお腹痛いですと言えばハンディーさんは苦笑いして奢ってやるよと言った。
ハンディーさんまじ神。
あ、しまった、ラッセルさん放置してた。
そう思ってラッセルさんを見てみれば、うわ、にやにやしてるよ。


「なんですか気持ち悪い顔して」

「いや〜?デート楽しんで来いよ…って気持ち悪い!?」

「あ、ごめんなさいつい本音が」


そう言うとラッセルさんはガーン!とショックを受けた様に手に持っていた野球ボールを落とし、その場にorzの体制になる。
ハンディーさんはカラカラと笑いながら作業道具を片付けている。
私も放り投げた財布を拾い上げて今だ落ち込んでいるラッセルさんの肩を叩く。


「嘘に決まってるじゃないですか。ラッセルさんランピーさんには負けますけど顔だけはいいんですから」

「あいつの顔の良さは異常なんだよ…」

「いや、むしろ皆私からしたら異常なんですけどね。私ラッセルさんやハンディーさんと居るとなんか居たたまれないですもん」

「あー、確かにお嬢さんふっつーな顔してるよな。ハンディーもそこそこ顔良いしな」


そうなのだ。
ここの村の住人は皆顔が異常な程良いのだ。
いや、まだ全員は会ったことないんだけど。
悪かったな普通で。
あ、なんか悲しくなってきた。
ラッセルさんの隣で若干orz体制になりかけていると、ぽんと頭を叩かれた。


「まあ、なまえにはなまえの良いところがあるからな。肉食いたいんだろ?買いに行くぞ」

「は、ハンディーさん…!」


やだ、ハンディーさんイケメンすぎる。
惚れそう。
感動して涙出てきたわ。


「ラッセルも来るか?」

「いや、今日はやめておく。向こうにカドルス達も居るんでな。

じゃあな、お嬢さん。ハンディーと仲良くな。」


野球ボールを拾いながらラッセルさんはそう言って去っていった。
そういえば野球してたんだっけ。いいな、楽しそう。
まあ行かないけど。


「じゃあ行くか」

「はい」


そういえば、最近ハンディーさんと二人きりになることってなかったな。
ほとんどラッセルさんやランピーさんが居るし。
ハンディーさんの仕事を手伝うにしても本当にただ手伝うだけだし、こうやって二人並んで話すのも久し振りかもしれない。

この頃色々あったしなあ…。
主にカドルスくんの事なんだけど。
たまにはハンディーさんとゆっくりするのもいいかもしれないな。

(130623)
ハンディーとゆっくりさせたかっただけ。